何ものにも回収されない音楽。現代の特異点King Krule『The OOZ』

何ものにも回収されない音楽。現代の特異点King Krule『The OOZ』

先日リリースされたKing Krule『The OOZ』が素晴らしい。何が素晴らしいのかといえば、例示として適当かどうかはわからないながら上げさせてもらうなら、その音の一粒一粒が、ディアンジェロの『Black Messiah』を彷彿させるレベルでの鳴りをもっていること、そして、その背景にあるのが、「決して何ものにも回収されまい」という、現代においてもっとも困難な「抵抗」に根ざした意志を突きつけてくる点にある。

すでに生活のすべてをAIスピーカーにすすんで供託せんとする現代にあって、それが個であろうが集団であろうが、最適な整理と最適な解だけがただ行きかい受け取る未来を待ちながら、それでもどこかに「それ以外」であることは可能かと問うこと。King Krule『The OOZ』の音の慄くような強度は、それだと思う。

こちらは同作収録「Dum Surfer」の英TV出演時の映像。
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