ギター・ロックの定点とは何か

ギター・ロックの定点とは何か

一度観てしまったら絶対に忘れそうにないジャケットの、
Built To Spillの新作『THERE IS NO ENEMY』。
ギター・ロックの「オルタナティヴ」を長らく牽引してきたベテランによる3年ぶりのアルバムは、
まさに、ここ20年ほどのロックがどのような精神を経巡ってきたのか、
その渇き加減も湿り気も、あますところなく描ききってしまう作品だ。
だから、自分のような人間にとってみれば、どの音も「わかって」しまうのだけど、
それは「確認」ということではなく、むしろ「発見」に近い。
過ぎ去った日々がどんな出来事だったのか、
わたしたちは知っているかのように振舞っているが、そんなことはない。
そこからどんなことがこぼれていて、だからいまも同じような間違いを繰り返しているのか、
彼らの音はわたしたちに気づかせてくれるのである。

しかし、あらためて聴いていると、いま、このような厚みを持ったギター・アルバムはないなと思う。
ギター・ソロだって悠然と弾かれている。
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