パンクとはロックの倫理である

パンクとはロックの倫理である

前に何度か紹介したThe Soft Pack、日本独自編集によるデビューEPがリリースされたので紹介。
タイトルは、彼らが以前名乗っていたバンド名を使っていて、『The Muslims EP』。10曲収録。
あの、「友達の父親がNY市警で、その彼が実際に壁に撃った弾痕」をジャケットにしたもの(日本盤は上の写真がジャケット)が元になっている。

サンディエゴの高校で知り合ったマット・ランキンとマッティ・マクローリンが大学時代に始めたというバンドは、
ベースがぶんぶん鳴り、ギターはぎゃらぎゃらとかき鳴らされ、ドラムがどしゃどしゃと殴られる、
単純で、だからそこに毅然とした何かをメッセージするパンク・サウンドだ。
周りを見渡したときの風景に映る、不可解で不明瞭で不条理な世界。
それに対するまっとうな退屈さやちょっとした怒り、もうずっと抱えたままの疑問を、
「そのままの温度」で放出する。

この「そのままの温度」というのがミソで、だからそこには激情もかさ上げされていなければ、
芝居がかった憂鬱さもない。
日常会話で交わされる、オーラルな言葉の温度が彼らのパンクである(だから、どの曲もポップでキャッチーだ)。

というか、パンクとはそういうものだと思う。
そしてだからこそそれは、いつの時代もロックのはじまりを告げる、最初の倫理となってきたのだ。

彼らはデビュー・アルバムを2010年2月に準備していて、
その作品ではプロデューサーにGirls Against BoysのEli Janneyを起用しているそう。
ワシントンDCパンクと、サンディエゴ・パンクの融合というわけだ。
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