2009年超私的ベスト・アルバム、下半期編、第1位はGirlsの『Album』。

このアルバムに充満しているのは、愛である。愛といっても、誰もが笑顔になるようなものではない。たいそうに両手を広げて、みんなありがとうなどと口走らせるようなものでもない。この愛は、壊れた者だけが渇望することのできる愛である。だから、それもまた、歪である。悪態や不信や絶望もまた同じくらい充満している愛である。だから、この愛が哀しいのは言うまでもない。2009年を通して、これほど個々人の心の奥底に届いてしまったアルバムは他にないと思う。そのようなベクトルを持った音楽は、もう死に絶えてしまったと思っていたのだ。


下半期の1位、2位（http://ro69.jp/blog/miyazaki/28454）は、そういうアルバムを選んだ。選ばされたというか。The xxも、Girlsも、新しい子供たち（Girlsのクリストファー・オウエンスは30歳だけど）による、新しい愛のかたちだと感じた。かたや、つぶやくことしかできないリアルを決然と受け止めた少年少女たちであり、かたや、泣き叫ぶことしかできないリアルを生の実感として握り締めていた、大人を拒否した青年だった。この子たちの現実は、この子たちにしかわからないことどもで埋め尽くされている。（私のようなオッサンから）遠いそんなような場所から、このような音楽は聴こえてきたのである。