昨年リリースされた、彼等のライブDVD『Ashes Of American Flags』。
タイトルは、2000年代の傑作のひとつにも選ばれる、2002年発表の『Yankee Hotel Foxtrot』収録曲からとられている。
ツアー・バスから見える夕焼け、田舎のさびれたコンサート会場の駐車場、開演を早くから待っている観客……。そうした映像を差し挟みながら、ライブの模様が映し出される。まっとうといえばまっとうな遊びのない演出なのだけど、Wilcoというバンドがどのような風景をみているのか、そのことが十二分に伝わってくる。そして、そのような風景をみていることが、この演奏をもたらしていることも伝わってくる。Wilcoの持つアメリカン・ロックの奥行きが、まさに「取り残されたり忘れ去られたり追うことに疲れたりした風景」を回収するためにいま必然として鳴っていることがわかるのだ。