ロック・フェスっておもしろい

ロック・フェスっておもしろい

いまから41年前に行われたウッドストックが、実は「ウッドストック」で行われなかったことは有名だ。
ニューヨーク州ウッドストックはフェスを開催できるような場所ではなく、それでと候補地にあがった別の場所は直前になって町側からNGを出されてしまう。そんな絶対絶命のピンチを救ったのが、この本の著者、エリオット・タイバーだった。

エリオットは、サリヴァン州ベセルでモーテルを経営していた人物。彼は、くたびれたモーテルとさびれたこの町の「町興し」として、ロック・フェスを歓迎するのである。

あの伝説のロック・フェスの裏話でも読めるのかと思って買ったのだけど、もう半分くらいまで読み進めてまだ「ウッドストック」のウの字も出てこない。ひたすらエリオットの半生が延々と書かれているだけなのだ。

ところが、これが滅法面白いのである。ユダヤ人家庭のどうしようもない両親のもとに育ち、しかもエリオット本人はゲイだった。そんなエリオットが体験した当時のアメリカ社会のあれこれが生き生きと活写される様は、もうなんというか凄い。メイプルソープからカポーティまで、一夜をともにした有名人は数知れず、一方で、迫害を受けるゲイの現実、そして、後に「最初のゲイ・パワー革命」と称された警官たちとの抗争などなどが、次から次へと語られていて、興奮の連続なのである。

今開いているページは、彼のモーテルの前の広々とした場所に、上空からヘリコプターが着陸しようとしているところ。乗っているのは、どうやらマイク・ラングという人物らしい。マイク・ラング、つまりは、ウッドストックの主催者と、エリオットが初めて出会う場面だ。

うわー。

ロック本としてお勧めしようかと思っていたのだけど、
違った意味でもっとロック本です、これ。
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