チャンス・ザ・ラッパーの『SNL』Xマス特番パフォーマンスに心癒される。Run-DMCパロディでオバマに感謝も。映像

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今年最後の『サタデー・ナイト・ライブ』Xマス特番の内容が素晴らしかった。ホストは、アカデミー賞主演男優賞最有力候補のケイシー・アフレックだったのだけど、番組をかっさらったのは、ミュージカル・ゲストのチャンス・ザ・ラッパーだった。2曲パフォーマンスをして、2曲目の“Same Drugs”の映像がこちら。

チャンスは、オバマが大統領就任中の“ラスト・クリスマス”となったため、なんとRun-DMCのパロディで、これまでのオバマの業績に感謝をするビデオに出演。これが笑えるし、オバマに敬意と感謝の意を表していて、最後にじーんと泣ける内容になっている。残念ながら映像は開かないのだけど、写真だとこんな雰囲気。

また、チャンスは最初に“Finish Line/Drown”も演奏。
それも映像が開かないので、代わりにこちら。

この日『SNL』は、ほぼ全編がトランプ批判のギャグになっていて強烈だった。

例えば、『ラブ・アクチュアリー』のキーラ・ナイトレイのシーンをパロディにして、ヒラリーが月曜日に最終的な投票を行う投票人の家に行き、トランプに投票しないで欲しいとお願いするコントが最高だった。

さらにアレック・ボールドウィン扮するトランプの家の煙突からプーチンがプレゼントを持って降りて来たり、そこへジョン・グッドマン扮するロシアとの関係性が深いエクソンCEOのレックス・ティラーソン(トランプが国防長官に指名)が、“親友”として登場するなど痛烈。

また、トランプが大統領になることを、「サルの前に機関銃を置くようなもの」と例えたりしていた。「どうか使い方を把握できずに、そのまま銃を発射しませんように」というオチだった。

今年のアメリカは激動の1年だったと言えるが、素晴らしい音楽や、またこういうコメディ番組のおかげで、個人的には何とか狂わないですんだと思う。『SNL』が、そういう年の最後に、闇ではなく何とか光と歓喜をもたらそうと、チャンス・ザ・ラッパーをゲストに選んだところも素晴らしい。

またチャンスとケイシーが出演したこの番組の予告編も良い。こちら。

ロックフェラー・センターのXマス・ツリーの頂点に星を掲げるという内容で、チャンスが踏み台を持ってくるのだけど、明らかに低すぎる。ケイシーが「ちゃんと考えて持って来なかっただろう」と文句を言うと、チャンスが「いや、信じることが肝心だ」と言い返す。ケイシーが「何を信じれば?」と言うと、「えっと、Xマスを」と言う。ギャグなんだけど、すごいチャンスらしい内容になっていて、ダメダメだけど何かじーんとくる。その後小さい声で「文句言うなよ」とぶつぶつ言ってるのも良い。

ちなみに、“Same Drugs”で、途中からピアノをチャンスの代わりに弾くフランシス・アンド・ザ・ライツにも注目。昨今の音楽シーンのキーパーソンとも言える存在だ。チャンスのみならず、カニエ・ウェストや、Bon Iverとも共演。ジャスティン・ヴァーノンに取材した時言っていたけど、つい最近まで彼のスタジオに住んでいたそう。チャンスの作品にも、ジャスティンの作品にも、教会のゴスペル隊が歌ったようなサウンドが使われていて、それが今年のシーンのひとつの特徴だったと言えると思うけど、それは、フランシスが作ったマシーンを使ったサウンドで、実際のコーラス隊ではなくて、ひとりの声を幾重にもするマシーンなのだという。

チャンス・ザ・ラッパーの『Coloring Book』は、ローリング・ストーン誌は年間ベストの3位に、ピッチフォークも6位に選んでいる。アルバムは、タダでストリーミングできる。
https://soundcloud.com/chancetherapper/sets/coloring-book
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