最後にどうしても書いておきたい映画2本『The Florida Project』と『Three Billboards』 。[トロント映画祭9]

  • 最後にどうしても書いておきたい映画2本『The Florida Project』と『Three Billboards』 。[トロント映画祭9] - Joe Scarmici Getty Images/TIFF

    Joe Scarmici Getty Images/TIFF

  • 最後にどうしても書いておきたい映画2本『The Florida Project』と『Three Billboards』 。[トロント映画祭9] - GP Images WireImage/TIFF

    GP Images WireImage/TIFF

  • 最後にどうしても書いておきたい映画2本『The Florida Project』と『Three Billboards』 。[トロント映画祭9] - Joe Scarmici Getty Images/TIFF
  • 最後にどうしても書いておきたい映画2本『The Florida Project』と『Three Billboards』 。[トロント映画祭9] - GP Images WireImage/TIFF

トロント国際映画祭は何しろ北米最大の映画祭で、期間中観た作品も更にあり、例えばアレクサンダー・ペインの地球温暖化対策ユートピアコメディ『Downsizing』とか、ジョージ・クルーニー監督の『Suburbicon』、カンヌ国際映画祭でグランプリに次ぐ審査員賞を受賞した『LOVELESS』や、シアーシャ・ローナンが主演で注目された『On Chesil Beach』など。

しかしレポートがあまりに長くなってしまうので、それぞれ日本の公開時にレポートさせていただくとして、最後にどうしても紹介しておきたい作品が2本ある。『The Florida Project』と、『Three Billboards Outside - Ebbing, Missouri』だ。

1)『The Florida Project』

最後にどうしても書いておきたい映画2本『The Florida Project』と『Three Billboards』 。[トロント映画祭9] - TIFFTIFF

この作品は、すでにカンヌ国際映画祭で観たジャーナリストの友人達から最高だと聞いていたのだけど、予想を上回る素晴らしさだった。物語の内容は、特にない。『タンジェリン』でも素晴らしい才能を発揮したショーン・ベイカーによる最新作は、フロリダという、アメリカ人が引退したら住みたい場所1位と言われる場所を舞台に、その輝かしい場所の舞台裏に住む母と幼い娘の日常を描いた物語だ。しかし、これが、貧しい家族を主人公にした作品にありがちな悲惨さがゼロ。ドラッグとか、売春というようなシーンが一度も映らない。示唆するシーンはあるのだけど。その理由は、主人公の女の子の視点から描かれているからで、彼女の目から観るこの世界では、お母さんは優しいし、毎日楽しいし、笑える。しかし、それを描くことでそうではない、というのを描いているのが、この作品の素晴らしいところなのだ。悲惨ではないという意味では、『ムーンライト』に近い世界観がある。

しかも、女の子の演技が抜群で、とても演技とは思えないのだけど、あとで聴いたらちゃんと脚本もあって、演技していたというから信じられない。お母さん役は、監督がインスタグラムで見付けた素人だそう。また、そんな中で、救世主的な役を演じているウィレム・デフォーの演技力が光っている。『タンジェリン』でも明らかなように、この監督の声にならない声に焦点を当てる優しい視点と、それを映画として成立させてしまう才能には感動してしまう。彼にしか作れない映画なのだ。

予告編はこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=WwQ-NH1rRT4

2)『Three Billboards Outside - Ebbing, Missouri』

最後にどうしても書いておきたい映画2本『The Florida Project』と『Three Billboards』 。[トロント映画祭9] - TIFFTIFF

フランシス・マクドーマンドが、レイプされ殺された娘の母親を演じるブラック・コメディは、この映画祭で1番と言いたくなるような優れた作品だった。娘を殺した犯人を警察が真剣に捜していないと思った母は、町にあるビルボード3つ使って、警察への抗議のメッセージを掲げるという物語だ。

フランシス・マクドーマンドの怒れる演技が笑えるレベルになるほど素晴らしくて、さらに共演で警察を演じるサム・ロックウェルもそれと競う名演を見せている、名演対決の作品なのだが、ふたりの役者がニュアンスで、怒りと笑いとフラストレーションなどを表現してしまうところが、観客として最大の喜び。

これは市民VS警察という対決の物語ではなくて、それぞれがこの過程でどれだけ変われるのか、を描いたところが最大の見どころだと監督のマーティン・マクドナーが言っていた。今の世情とも重なる、感動的で、笑えて、心に突き刺さる素晴らしい作品。フランシス・マクドーマンド始め、この作品もオスカーに何かしら関わるのは間違いないと思う。

予告編はこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=Jit3YhGx5pU

というわけで、長いレポートとなったけど、最後の最後に、観客賞がどれだったかをレポートすることになると思う。去年は『ラ・ラ・ランド』。観客賞を獲った作品は、オスカーまっしぐらなので!
中村明美の「ニューヨーク通信」の最新記事

最新ブログ

フォローする