日本から少し遅れて、アメリカでも新型コロナウイルスの影響によりイベントなどがキャンセルされるようになった。
1)SXSW
週末にキャンセルが発表されたのはインディ・バンドの祭典、SXSW。3月13日から22日までテキサス州オースティンで開催される予定だったが、Facebook、Amazon、Appleなどテック企業は早々に不参加を表明。開催が懸念されていたが、あと1週間というところで主催者が正式にキャンセルを発表した。
同イベントのSNSによると、主催者はオースティン市がキャンセルを要請したため、それに従うことにしたという。
「このニュースを皆さんに伝えなくてはいけなくて非常に落胆している。『The Show Must Go On』の精神が我々のDNAだが、今回34年の歴史で初めて3月のイベントをキャンセルすることになった。
今週の水曜日(3月4日)には、オースティン市衛生局に『SXSWやその他、人の集まるイベントをキャンセルすることで、街がより安全になるという証拠はない』と言われていた。しかし、状況が急変したため、オースティン市の決定に従うことにした。我々のスタッフ、参加者、オースティン市民を守るために、我々も最善を尽くすつもりだ」
LAタイムズ紙によると、オースティン市長がキャンセルを要請したのは、アメリカ西海岸シアトルなど、新型コロナウイルスの患者が多い地域からの参加を恐れての決断だそうだ。
https://www.latimes.com/entertainment-arts/music/story/2020-03-06/sxsw-canceled-coronavirus
SXSWは、元々世界中からインディ・バンドが集まるイベントだったが、最近は映画、テック企業も参加。アーティストも合わせると参加者は25万人を超え、これによるオースティン市の経済効果は約400億円と言われている。
今年は、トレント・レズナーからビースティ・ボーイズの映画を完成させたスパイク・ジョーンズ、さらにジャド・アパトー監督による新作の世界プレミアが予定されていたし、ロジャー・ウォーターズ、キム・ゴードンなどが参加する予定だった。
世界中から集まるインディ・バンドはSXSWに合わせて全米各都市をツアーで回るスケジュールを組んでいるので、それがどうなるのかと思うとかわいそうだ。楽しみにしていたファンもかわいそう。今こそインディ・バンドのマーチを買って欲しい。
2)コーチェラは?
次に気になるのは、フェス・シーズンの幕開けともいえるコーチェラ・フェスだ。4月10〜12、4月17〜19日にカリフォルニア州インディオで開催される。
上のLAタイムズ紙の記事によると、市は先週金曜日に「市民も旅行で来る人達にとっても、我々の地域は現在安全です」と記者会見で発表していた。「ただし、コーチェラは世界中から人が集まってくるリゾート地なので、いつ状況が変化するか分かりません」とも述べている。
そしてそう言っていた矢先、3月8日の日曜日には、コーチェラが開催されるRiverside郡で、新型コロナウィルスの感染者がいると発表された。先週はコーチェラをキャンセルするようには要請していないと市の衛生局は語っていたが、今回の件で事態が変わる可能性も大だ。
コーチェラの今年のヘッドライナーは、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、トラヴィス・スコット、フランク・オーシャン。チケットはすでに完売しており、毎週末12万5000人が参加する予定だ。現時点では、Riverside郡が非常事態宣言を発令したこと、SXSWがキャンセルされたように多くの西海岸からの参加者が予想されることから、キャンセルになる可能性が大きいのではと言われている。主催者のGoldenvoiceは現時点では何も発表していない。
ちなみに週末のTV番組『SNL』で、SXSWがキャンセルされたとレポートした後、「ちなみに今年のコーチェラのヘッドライナーは新型コロナウイルスになりました」とギャグを言っていて、笑っちゃいけないけどつい笑ってしまった。
3)Ultra Music Festival
3月20〜22日にマイアミで開催予定だったEDMフェス、Ultra Music Festivalがキャンセルされた。これも同フェス21年の歴史の中で初めてのこと。
ただ、主催者は「キャンセル」という言葉は使わず、「来年の3月26、27、28日に延期」と発表している。理由はSXSWと同じで、フロリダ州知事が非常事態宣言を発令したためと、市が会場となる公園の使用許可を出さないためだという。
どうやら大きなフェスやイベントは、市の決まりに従うということのようだ。
4)ビリー・アイリッシュ全米ツアーは明日から開催!
一方、単独の全米ツアーについては現時点では通常通り行なわれるよう。ビリー・アイリッシュの全米ツアーが明日からUltraと同じくフロリダ州マイアミより開催される。ビリ―はすでにマイアミ入りしているようで、ファンが会場前のツアー・バスなどをポストしている。
また、ビリーの母が明日からツアーのレポートをするのでフォローして、とインスタでコメントしている。ビリーのツアーは地球環境に優しい内容になるそうで、それを主にレポートするとのこと。ビリーのお母さんは、ライブの様子やファンとの交流、ファンからもらったギフトなどをこれまでストーリーでポストしていたので、必見だ!
https://www.instagram.com/p/B1cTMd3H--P/
ビリーにとって、今回は初のアリーナ・ツアーとなる。NY近辺ではマディソン・スクエア・ガーデンを含む3回ものライブを行なうが、2万人キャパの会場はすでに完売している。
ビリーは、ご存知のように9月に来日公演が決定している!!
https://rockinon.com/news/detail/191936
また、彼女が主題歌を担当している最新ボンド映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、新型コロナウイルスの影響で公開が延期となってしまった。イギリスは11月12日。アメリカはサンクスギビング(感謝祭)の11月25日。なお、日本の正式公開日はまだ発表されていない。
5)BTS
発売されたばかりの新作『MAP OF THE SOUL : 7』が、見事全米アルバム・チャート1位を獲得したBTS。世界ツアーが4月11、12、18、19日のソウル公演から開始するはずだったが、この4公演が延期となった。
次は4月25日からカリフォルニア州で全米スタジアム・ツアーが始まるため、それがどうなるのか注目されている。1会場のキャパはそれぞれなんと約9万人。NYでも9万人収容のMetLifeスタジアムで2日間もライブを行なうが、両日ともチケットはほぼ完売という人気っぷりだ。
アメリカではアルバム発売時に様々なTV番組に出演していたBTSだが、とりわけ人気企画の「カープール・カラオケ」に出演していた時がかわいかった。
https://www.youtube.com/watch?v=T4x7sDevVTY&feature=youtu.be
この世界ツアーは、アメリカからヨーロッパに渡り、7月6日には大阪より日本ツアーが開始する。
6)マライア・キャリー
マライア・キャリーが3月10日にホノルルで開催予定だったライブを11月に延期した。延期の理由は世界的に旅行などが規制されているため、だという。
ただファンにとって嬉しいのは、11月になってしまったため「All I Want For Christmas Is You & Hits extravaganza」を行なうということ。
新型コロナウイルスによるアメリカでの現時点の傾向は、マライア以外は単独ツアーはそのまま行なわれ、イベントやフェスはキャンセルとなる傾向に。アメリカではウイルスを検査するキットが不足しているため、キットが届くといきなり感染患者の数が増えるという状況だ。なので、今後も日々大きくコンサート、イベントに影響していくと思う。
個人的に気になるのは、アメリカのアーティストによるアメリカでの単独ツアーはそのまま行なわれるようだが、例えば、トム・ヨークなどイギリスのアーティストは無事やって来られるんだろうか? トムは3月28日から全米ツアーが開始する予定で、3月30日からはNYでの3公演も控えている。
現在、コーチェラの次に注目されている大きなイベントは、5月12〜23日にフランスで開催されるカンヌ映画祭だ。フランスは、5月いっぱいまで5000人以上集まるイベントを禁止している。しかし、現時点でカンヌ映画祭の主催者は、映画祭の最も大きい会場でも3000人以下しか収容できないと述べ、開催する意向だ。ただ、コロナウイルスの患者が多い北イタリアと近い距離にあるため、人々はキャンセルされるのではないと予想している。
とにかく、どこの国も日々状況を見守るしかないということだと思う。