今年のUS音楽シーンで最重要なニュースのひとつは、なんと言ってもオリヴィア・ロドリゴの大ヒットだ。でも、彼女のデビュー作『サワー』は、コロナの真っ只中に発表されたためまだライブらしいライブをやっていなかった。
が、なんと、9月にキャリア初ライブを行い、それをラスベガスで観て来た!
それが予想以上に最高だった。
ちなみに、このブログは9月にとっくに書いている予定だったのだけど、ものすごく遅れての報告になる。すいません(汗)。
私が観たのは、9月18日にラスベガスのAREA15という屋外の会場で行われたアメリカ最大のラジオ局が主催するiHeartRadioミュージック・フェスティバル。さすがラジオ曲が主催なので、オリヴィアのみならず、その他のメンツも今メインストリームでヒット曲がある人たちばかり。これが出演者。24KGOLDNから、ヤングブラッド、スウィーティー、ザ・キッド・ラロイなど今観たいアーティストばかりが次々に登場した。
オリヴィアのライブは出て来た瞬間から、想像以上に格好も、佇まいも、全体のノリがロック的でそれがまずびっくりした。バンドもメンバー5人が全員女性。
アルバムの1曲目の”ブルータル"から始まったんだけど、会場の多くは彼女の出演を何時間も待っていたので、登場した瞬間から弾けて、地面がマジで揺れていた(笑)。もちろん数え切れないくらいの携帯が掲げられていたし、何より一字一句の大合唱が凄かった。彼女がいかに愛されているのかよく分かった。
来ている子供達も、みんなオリヴィア・ロドリゴのスタイルだったのが最高かわいかった! みんな小さいのにドクターマーチンを履いているのがすごい。
一番驚いたのは、これが初ライブだったのに、ステージ上でのカリスマ性と、会場全体を一瞬で巻き込んでしまうパフォーマーとしての本物の才能だった。メインストリームのポップスターは、TVで1、2曲のパフォーマンスしたくらいでは、どれくらいの実力があるのかなかなか分からないけど、この日のライブで、彼女がここからもっともっと大きくなっていけるのは明確だった。
喋りだすとめちゃキュートで、「みんな気づいたか分からないけど、これは私の初めてのライブなんだよ。みんながここでそれを一緒に体験してくれて本当に嬉しい。どうもありがとう」と笑顔で言っていた。そこから、大ヒット曲の”ドライバーズ・ライセンス”では自分でピアノを弾き、大合唱。同時に、会場がみんな涙しているんじゃないかというような感動ももたらした。
https://youtu.be/ZmDBbnmKpqQ
それが最後の曲ってわけじゃないのも良かった。そこから続けてピアノで泣きメロの、”トレイター”。
「私の家族も今日来てるんだよ。私を応援してくれて、こんな最高の日をありがとう」と最後は思い切り弾けて、”グッド・フォー・ユー”で終わり。わずか20分のライブだったけど、全体の流れも最高。
何より彼女が、自分の中にどうしても表現したものがあってそれをこのステージで吐き出しているという姿が素晴らしかった。それがファンから共感されている部分で、より強い結びつきになっているんだと思った。
私が知る限りでは今後のツアーの予定などは発表されていないけど、開催されることになったらぜひまた観たいと思う!
最近では、トークショーに出演し、ホワイトハウスに行ったことなどを語っている。
彼女が最初に書いた曲を訊かれて、「9歳か10歳くらいの時に、”スーパーマン”という曲を書いたんだけど、内容は、『私はスーパーマンに救ってもらう必要なんてない。教訓を教わる必要もない。私は人間だから、自分の失敗は自分で片付けられる』という歌で、自分ではすごく深いと思ったの」とちょっと笑いながら言ってるけど、実際9歳でこんな歌を歌うなんて深いと思う。
さらに、「お母さんが、中西部出身の優しい小学校の先生なんだけど、一番好きな音楽はデスメタルとかパンクロックで、私を朝起こすためにモーターヘッドをかけたりしていた(笑)。それがミュージシャンになる時影響したかもしれない(笑)」と言っていたのが興味深かった。
また、最新のローリング・ストーン誌では、大きな影響を受けたというアラニス・モリセットと対談している。
オリヴィアは、「『ジャグド・リトル・ピル』を初めて聴いた時に、こんな正直なことを歌っていんだ、とびっくりした」と語っている。
アラニスも、「でもあなたも同じように、自分の中から出て来たものをそのまま表現しているでしょ。それに、音楽が良いだけじゃなくて、そこに深さがあるのが素晴らしいと思う」と言っている。
オリヴィアの今後でまず注目すべきは、11月23日に発表されるグラミー賞のノミネーションだ。
1)その他目立ったのは、まずヤングブラッド。
ライブは、繊細さと、危険で何が起きるのか分からない破壊力の両方持っているのが良かった。何より素晴らしかったのは、近年のU Kアクトにはあまり観られなかった巨大なアメリカでも耐えられそうなタフさがあること。
びっくりしたのは、すでに5、6歳の男の子が彼の格好で観に来ていたこと。これからさらに人気が拡大するのは間違いないと思う。
https://www.instagram.com/p/CT-nIEgFO1d/
2)ザ・キッド・ラロイは、今年ロラパルーザで、マイリー・サイラスを観た時もゲストで出演したし、ジャスティン・ビーバーのステージにもよく出演している。
パフォーマーとしてはまだこれからと言う感じだったけど、コラボレーターとして関わった曲でヒット曲が多すぎる。とりわけ、ビーバーとの”ステイ”は今年を代表すると言って良いヒット曲なので、勢いがあるライブだった。
https://www.instagram.com/p/CT-0lr7lZFR/
iHeartRadioミュージック・フェスティバルは、屋外で行われ、ワクチンを2週間前以上に接種した証明書か、72時間以内に受けた検査で陰性の人のみが入場可だった。中では通常通りで、ソーシャルディスタンスもなしのギューギューで大歓声を上げてもOK。アルコール、食事もOKだった。
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