ロジックの自殺防止ホットラインの曲が、実際に何百人もの若者を自殺から救っていたことが新たな研究結果で判明。

ロジックの自殺防止ホットラインの曲が、実際に何百人もの若者を自殺から救っていたことが新たな研究結果で判明。

ロジックは、2017年に、MTVビデオミュージック・アワーズで、自殺防止ホットラインの番号をタイトルにした”1-800-273-8255”のパフォーマンスをした。その後、自殺ホットラインへの電話が普段の50%増えたと団体が発表していた。

しかし、最近発表された新たな調査結果によると、電話が1万件以上増えたのみならず、10歳〜19歳の自殺が5.5%減少。それは、この曲の影響であるとイギリスの医学誌が発表していると、ビルボードが報じている。

MTVでのパフォーマンス映像はこちら。

この自殺の減少は3回あったそうで、最初の減少は、彼が2017年4月にこの曲を発表した後。

そして2回目の減少は、彼がMTVでパフォーマンスをした後。曲を紹介したケシャのパワフルなスピーチも大きな影響を与えたと言われている。

3回目の減少は、彼が2018年にグラミー賞でパフォーマンスをした後だったそうだ。

ロジックは、この新たな研究結果を受けて、CNNでコメントしている。

「僕の音楽が実際に人の命に影響を与えることこそ、僕があの曲を作ったインスピレーションだった。あの曲は、人の命を救いたいという本当に心の温かいところから生まれたものだった。だけど、それが実際に人の命を救えたなんて、本当に驚いてしまう」

研究によると、電話が1万件以上増えたのみならず、10歳〜19歳の自殺が減少し、その減少数は、245人の命を救ったに等しいということ。
「ロジックの曲”1-800-273-8255”は、電話の増加につながったのみならず、ソーシャルメディア上でその曲について多く語られたため、自殺の減少につながった」と。

これまでの調査では、ホットラインに電話をすることで、精神的なストレスや自殺願望を減少させるのに役立つと分かっていたし、また、ソーシャルメディアで希望や回復の物語をシェアすることで、自殺を減少させられることも分かっていた。

ロジックの曲は、その2つを1曲で合わせたものであるため、電話も増え、ソーシャルメディア上での物語のシェアも行われたため、実際の自殺の減少に繋がったのだとイギリスの医学誌The BMJが結論付けている。

「セレブリティでも、そうでない人でも、その人たちがいかに危機や自殺念慮と対峙したのかについて、しっかりとコミュニケーションできれば、自殺防止の重要な役割を担える」と研究者がCNNに語っている。「ロジックの曲は、最も幅広く、最も持続性のある自殺防止のメッセージがあり、しかもそれが直接的に希望と回復の物語と繋がっている」

この曲でロジックはこう語っている。

「誰かが僕を救ってくれないかとずっと祈っている。誰もヒーローじゃないし、僕の命なんて大したことないって分かってる。分かってるけど」
「全ての命が尊いとよく言うけど、でも、僕の命なんて誰も気にしちゃいない」

この曲の主人公は、自殺したいと思っているけど、自殺する代わりに、自殺防止ホットラインに電話する。
アレッシア・カーラがカウンセラーで、彼の電話に出るという内容だ。

ロジックは今年、『This Bright Future』と言う自伝を発表している。その中で、自分は両親がいたが孤児だったと形容し、母はアル中で精神的病気であり、父はクラック中毒だったため、虐待、または親不在の人生を送っていたこと。そしてそこから10代で抜け出してラップトップと高校中退の学歴でいかに成功したのかが描かれている。この本について、音楽では表現できなかったことを書いたと語っている。

また、「これは希望についての物語だ。僕のメンタルヘルスとの葛藤や、僕の家族が中毒と、虐待と、不在で、構成されていたこと。そして、それが僕のクリエイティビティにつながったこと。さらに、アートが自分を表現し、救済する方法となったことが書かれている。この本を読んで、クリエイティブな夢を追求するインスピレーションとなったら嬉しい」と。

厚生労働省による日本の「#いのちSOS」(自殺対策支援センターライフリンク)は、0120-061-338(フリーダイヤル、無料)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_tel.html



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ロジックの自殺防止ホットラインの曲が、実際に何百人もの若者を自殺から救っていたことが新たな研究結果で判明。

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