オスカーのノミネーションが発表された。全結果はこちら。
https://www.oscars.org/oscars/ceremonies/2022
ノミネーションが多い作品は、以下の通り。
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』12部門
『DUNE/デューン 砂の惑星』11部門
『ベルファスト』7部門
『ウエスト・サイド・ストーリー』7部門
『ドリームプラン』6部門
以下雑感。
1)『ドライブ・マイ・カー』
まず、何より喜びの驚きが、『ドライブ・マイ・カー』の大快挙だ。なんと、日本映画で作品賞として初めてノミネートされたばかりか、監督賞、脚色賞と主要部門で3部門もノミネートされた初の日本映画となり、国際長編映画部門も合わせて、計4部門もノミネートされる驚きの結果となった。
これまでも、何度かアメリカでの評判について書いてきたけど、
https://rockinon.com/blog/nakamura/200952
https://rockinon.com/blog/nakamura/200995
https://rockinon.com/blog/nakamura/201549
実際、今回作品賞にノミネートされた10本の中で、一番評価が高い作品だ。しかし、評価が高くてもノミネートされないことの方がよくある。今回は、されるべき作品が本当にノミネートされたので、アメリカのメディアも珍しい喜びの驚きに沸いている。おめでとうございます!
ちなみにこの映画は、ぜひ劇場で観て欲しい。3時間もあるので、家で観て本当の良さを知るのは結構難しいと思う。幸い、再上映がいくつも決まっているようだ。
https://theaters.jp/7524
2)祝、ビリー・アイリッシュと、ビヨンセが初オスカー・ノミネート!
ビリー・アイリッシュと、ビヨンセが、歌曲賞で、初めてオスカーにノミネートされた。
●ビヨンセよりも夫のJAY-Zの方が、この部門でノミネートされる可能性が高いとされていた。が、ビヨンセの曲が使われた作品『ドリームプラン』の方が、映画として評価が高かったことが影響しているかもしれない。今すでに、どうか受賞者全員にパフォーマンスして欲しい=ビヨンセにパフォーマンスして欲しいという声が多く上がっている。以前ビヨンセに『ドリームガールズ』でインタビューした際に、「オスカーが欲しい」と目がまじで言っていたので、今回のノミネートは嬉しいはずだ。
●ビリーはフィニアスと連名で喜びのコメントを発表。
「”No Time To Die”でアカデミー賞にノミネートされていかに光栄で嬉しく思っているのか言葉では言い表せない。ボンドのテーマ曲を書くのは長年の夢で、まさか実現するとすら思っていなかった。だから、それがこうやって評価されるなんて、本当に信じられないし、ソングライターとしてアーティストとして頂点と言える体験だと思う。さらに、これだけ素晴らしいアーティストと並び評価されたことも、絶対に当然のこととは思えない。心の底からありがとうございます。
バーバラ・ブロッコリとマイケルGウィルソンへ、ダニエル・クレイグのジェームス・ボンドとしての比類なきレガシーに参加する機会を与えてくれてありがとう。ありがとう、キャリー・ジョージ・フクナガ。それから、ハンス・ジマーと、スティーブン・リプソン、そしてジョニー・マーへ、この曲で一緒に仕事できて、本当に最高に楽しかった。どうもありがとう。
ビリー、フィニアスより」
●タイトル通り『ベルファスト』を舞台にしたオスカー最有力候補の中で、ヴァン・モリソンの曲が多く使われていて、作品にぴったりなのだ。この部門でもノミネートされた。
●『ミラベルと魔法だらけの家』で、リン=マニュエル・ミランダがノミネートされた。彼は、アメリカの4大賞と言われているエミー賞、グラミー賞、トニー賞をすでに受賞しているので、今回オスカーにもノミネートされ、受賞すると4冠達成となる。現在サントラが、4回も1位を取っているので、彼が受賞する可能性もあるのだが、米シングル・チャートでも1位を獲得している一番人気のある”We Don’t Talk About Bruno”を提出していないので、取るのか微妙だ。
●ダイアン・ウォーレンは、なんとこの部門の常連で、これで13回目のノミネートとなる。しかし一度も受賞していない。これまで最もノミネートされて受賞がない女性アーティストなのだそうだ。
3)ジョニー・グリーンウッドもノミネート
予想通りだが、ジョニー・グリーンウッドが最多ノミネーションの『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のオリジナル・スコアでノミネートされた。彼は、2番目にノミネートの多い『デューン』のハンス・ジマーとの対決になるはずだ。ハンス・ジマーはオスカーの常連で、これで12回目のノミネート。受賞は1回。
https://twitter.com/TheAcademy/status/1491039809498132488
4)レディー・ガガがノミネートされずに衝撃
『ハウス・オブ・グッチ』で主演したレディー・ガガは、常にオスカー候補の筆頭だった。しかも、BAFTA, ゴールデン・グローブ、俳優協会賞も、批評家協会賞もノミネートされていたので、オスカーのノミネートは確実どころか、オスカーを取るか取らないかという位置にいたのだ。一体何が起きたのか?と、アメリカのメディアも最大の衝撃を受けている。
しかし、ガガが素晴らしいのは、文句ひとつ言わずに、同じ映画でノミネートされたメイクのFrederic Aspirasを祝福していることだ。彼は、カズ・ヒロに続き、アジア系アメリカ人として、メイクでノミネートされた2人目となる。
5)アラナ・ハイム主演の『リコリス・ピザ』
残念ながら、アラナ・ハイムは主演女優賞でノミネートされなかったが、『リコリス ・ピザ』は、作品賞、監督賞、脚本賞と3部門もノミネートされた。彼女の演技力がなかったらノミネートされなかったので、十分誇りに思うべき快挙だ。
6)『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放送されなかった時)』
以前紹介した『サマー・オブ・ソウル〜』が、サンダンス映画祭で大賞を取って以来、人気も評価も衰えることがなく、無事オスカーのドキュメンタリー長編映画部門でノミネートされた。アミール・”クエスト”・ラブの初監督作だ。
https://rockinon.com/blog/nakamura/200062
最近、サントラがようやく発売されて話題となっている。
アカデミー賞は、日本では、3月28日(月)午前7時半からWOWOWで生中継されるようだ。
https://www.wowow.co.jp/extra/academy/
ノミネートされた方おめでとうございます!
ロッキング・オン最新号(2022年3月号)のご購入は、お近くの書店または以下のリンク先より。