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    オスカー・ノミネーションは日本時間今夜発表。『ドライブ・マイ・カー』の濱口監督はスピルバーグ監督と接戦?! 果たして主要部門にノミネートされるのか? 各メディアの予想紹介。ビリーは、ガガは、ビヨンセ、アリアナは? ハイムは?

    オスカー・ノミネーションは日本時間今夜発表。『ドライブ・マイ・カー』の濱口監督はスピルバーグ監督と接戦?!  果たして主要部門にノミネートされるのか?  各メディアの予想紹介。ビリーは、ガガは、ビヨンセ、アリアナは?  ハイムは? -  Courtesy of TIFF Courtesy of TIFF

    今年全米批評家から大絶賛された『ドライブ・マイ・カー』。先日発表されたBAFTA(イギリスのオスカー)でも、なんと、ポール・トーマス・アンダーソンやジェーン・カンピオンなどと並び監督賞にノミネートされた。さらに、脚色賞にもノミネートされた。


    そしてとうとう日本時間の火曜日午後10:18からオスカーのノミネーションが発表される。ノミネーションは、ここで観られる。

    1)『ドライブ・マイ・カー』
    今年ノミネーション最大の見どころのひとつは、濱口竜介監督と『ドライブ・マイ・カー』が主要部門でノミネートされるのかどうか?だ。

    バラエティ誌などもそれを見どころのひとつにしていて、なんと、「濱口監督は、スピルバーグ監督かポール・トーマス・アンダーソン監督の枠を取れるのか?」という見出しで記事を書いているくらいだ。

    つまり、スピルバーグとPTAと争うことになる。ノミネートされなかったとしても、それだけでもう勝ちなのでは?!とすら思ってしまう。写真判定的な差になるだろうと予想されている。
    https://variety.com/feature/2022-oscars-best-director-predictions-1235020554/

    さらに、『ドライブ・マイ・カー』が、脚色賞でノミネートされるのかどうかも見どころだ。

    インターナショナル映画部門でノミネートされるのは確実。現時点で各メディアの予想を見ても、監督賞と、脚色賞はギリギリ入っていたり、入っていなかったりする。なので、本当に接戦でそこが見どころとなる。今の世の中が保守的なムードなのか前進ムードなのかによるような気もするのだけど。誰もが激動の日々を送っているような時なので、保守的な方に転ぶような気もする。

    ただ、今年のオスカーはこの94回の歴史で最多投票者で決められる。多様性のある投票者を増やそうとした結果なので、つまり、これまでになく多様であるということ。それがどのように影響するのか?も見どころだ。他の部門も同様に。

    2)クリステン・スチュワート

    もうひとつの見どころは、主演女優賞のクリステン・スチュワートだ。全米各地の批評家賞が発表されている時は先頭を走っていて、オスカーにノミネートされるのは当然で、オスカーを取るのか取らないのか?が見どころのひとつだった。

    しかし、オスカーに投票する割合が一番多い俳優達が決める俳優協会賞で、ノミネートすらされないという大番狂わせが起きた。またBAFTAにもノミネートされなかった。各メディアがそれを大批判したので、それで盛り返すのか? または、それが空気を変えてしまったことになるのか?

    主演女優賞には、ミュージシャンも候補に上がっている。もうミュージシャンというより本格的にハリウッド女優でもあるが、レディー・ガガと、『リコリス・ピザ』で初主演したハイムの末っ子のアラナ・ハイムだ。アラナは現時点では残念ながら5人の中に入ってないけど、演技に挑戦したのは初めてなのにこの評価は大健闘だ!

    3)デンゼル・ワシントン
    主演男優賞では、当初はノミネート確実だった天下のデンゼル・ワシントンが、BAFTAでノミネートされないというショックがあり、それもクリステン同様にどのように影響するのか見どころとなっている。

    4)ビリー、ビヨンセ、アリアナ対決?
    音楽部門でいえば、オリジナル・ソングで、無事ビリー・アイリッシュの”No Time To Die”がノミネートされるのか?

    されれば、『007』シリーズとしては7回目のノミネーションとなり、万が一受賞すれば、アメリカ人の作った『007』の曲としては初受賞となる。

    さらに、JAY-Zとビヨンセが別々の映画でノミネートされる可能性があり、もし2人ともノミネートされれば、同じ部門でノミネートされた初の夫婦となる。あまり意味はないか?

    この部門の候補者は超豪華で、場合によっては、ビリー、ビヨンセ、アリアナ・グランデが競う可能性だってあるのだ。
    以下現在の予想。

    ”Encanto” リン・マニエル・ミランダ

    “Don’t Look Up” アリアナ・グランデ

    “Respect” ジェニファー・ハドソン

    ”Harder They Fall” JAY-Z

    “King Richard” ビヨンセ

    “Four Good Days” ダイアン・ウォーレン

    U2のボノが最近インタビューで「オスカーが欲しい」と言っていたけど、現時点の予想では”Sing 2”での曲が、ノミネートもされないというくらいの激戦であり、豪華さだ。ビヨンセでもギリギリはいらない可能性がある。

    5)ジョニー・グリーンウッド 対 ハンス・ジマー
    オリジナル・スコア部門は、ジョニー・グリーンウッドが2つノミネートか? 受賞か? と当初盛り上がっていたけど、『DUNE/デューン砂の惑星』のハンス・ジマーがやはり強烈。

    ただ、ジョニーが、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』でノミネートされるのは確実だ。現時点での予想では、場合によっては、ジョニーではなくて、ハンス・ジマーが2つノミネートされる可能性も出てきた。

    『パワー・オブ・ザ・ドッグ』ジョニー・グリーンウッド

    『DUNE/デューン砂の惑星』ハンス・ジマー

    『キング・リチャード』
    “Parallel Mothers”
    『マクベス』
    『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』
    『ドント・ルック・アップ』
    『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』ハンス・ジマー

    『ミラベルと魔法だらけの家』
    『スペンサー』ジョニー・グリーンウッド

    5)作品賞
    作品賞の筆頭を走るのは、トロント映画祭でも観客賞を取った、『ベルファスト』だが、見どころのひとつは、Netflix作が3本(『パワー・オブ・ザ・ドッグ』、『ドント・ルック・アップ』、『チック、チック…..ブーン!』)ノミネートされる可能性があり、もしされれば、ひとつのスタジオが、作品賞3本ノミネートされるのは、なんと45年ぶり!

    1976年に、ユナイテッド・アーティスツの作品『ネットワーク』、『ウディ・ガスリー/わが心のふるさと』、『ロッキー』がノミネートされ、『ロッキー』が作品賞を受賞した。

    以下6メディアの主要部門予想
    EW: エンターテイメント・ウィークリー
    V: バラエティ
    NYT : NYタイムズ
    IND : インディワイア
    LAT:LAタイムズ
    VF:バニティ・フェア

    ●作品賞(10本)
    1.『ベルファスト』EW、 V、NYT、 IND、LAT、VF
    2.『パワー・オブ・ザ・ドッグ』EW、 V、 NYT、 IND、 LAT、 VF
    3.『キング・リチャード』EW、 V、 NYT、 IND、 LAT、VF
    4.『ドント・ルック・アップ』EW、V、NYT、IND、LAT、VF
    5.『ウエスト・サイド・ストーリー』EW、 V、NYT、IND、LAT、VF
    6.『コーダあいのうた』EW、 V、NYT、 IND、LAT、VF
    7.『リコリス・ピザ』EW、V、NYT、 IND、LAT、VF

    8.『DUNE/デューン砂の惑星』EW、 V、 NYT、IND、VF
    9.『チック、チック….ブーン!』EW、 NYT、IND、LAT、VF
    10.『愛すべき夫婦の秘密』EW、V、 IND
    11.『マクベス』NYT、 LAT
    12.『ナイトメア・アリー』V、VF

    ●監督賞(5人)
    1. ジェーン・カンピオン『パワー・オブ・ザ・ドッグ』EW、V、NYT、IND、LAT、VF
    2. ポール・トーマス・アンダーソン『リコリス・ピザ』EW、V、 NYT、IND、 LAT、VF
    3. デニス・ヴェルネーヴ『デューン』EW、V、NYT、 IND、LAT、VF

    4. ケネス・ブラナー『ベルファスト』EW、V、 NYT、 IND、VF
    5. 濱口竜介『ドライヴ・マイ・カー』NYT、 IND、LAT、VF
    6. ティーブン・スピルバーグ『ウエスト・サイド・ストーリー』EW、V、 LAT


    ●主演男優賞(5人)
    1. ウィル・スミス『キング・リチャード』EW、V、NYT、IND、 LAT、VF
    2. ベネディクト・カンバーバッチ『パワー・オブ・ザ・ドッグ』EW、V、NYT、 IND、 LAT、VF
    3. アンドリュー・ガーフィールド『チック、チック….ブーン!』EW、V、NYT、IND、LAT、VF
    4. デンゼル・ワシントン『マクベス』EW、V、NYT、IND、LAT、VF

    5. ハビエル・バルデム『『愛すべき夫婦の秘密』EW、V、NYT、LAT
    6. レオナルド・ディカプリオ『ドント・ルック・アップ』IND
    7. ピーター・ディンクレイジ 『シラノ』V F

    ●主演女優賞(5人)
    1. レディ・ガガ『ハウス・オブ・グッチ』EW、V、NYT、 IND、LAT、VF
    2. ニコール・キッドマン『愛すべき夫婦の秘密』EW、V、NYT、IND、LAT、VF

    3. オリヴィア・コールマン『ロスト・ドーター』V、NYT、 IND、 LAT、VF
    4. ペネロペ・クルス『Parallel Mothers』V、NYT、IND、 LAT、VF
    5. ジェシカ・チャステイン『タミー・フェイの瞳』EW、 IND、 LAT
    6. クリステン・スチュワート『スペンサー』V、NYT、VF
    7. ジェニファー・ハドソン『リスペクト』V、NYT



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