アメリカで濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』への絶賛が止まらない。ローリング・ストーン誌もNYタイムズも2021年の1位に。NY批評家賞でも最優秀作品賞に。オスカーは果たして?

アメリカで濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』への絶賛が止まらない。ローリング・ストーン誌もNYタイムズも2021年の1位に。NY批評家賞でも最優秀作品賞に。オスカーは果たして? - Courtesy of NYFFCourtesy of NYFF

濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』は、今年のカンヌ映画祭に出品され脚本賞を取って以来、秋にはトロント映画祭、NY映画祭などでも上映。その評価は高いままどころか、現在アメリカの各メディアが年間ベスト映画を発表する中で、リストの1位になることも多い。

さらに、NY批評家賞などでも、最優秀作品賞を受賞している。その評価の勢いが増している感すらあるのだ。どのメディアも『ドライブ・マイ・カー』を「傑作」と惜しみなく絶賛し、監督を「若き巨匠である」と称讃している。

NYタイムズ・マガジンは、毎年恒例の今年の優れた俳優の中に、デンゼル・ワシントンやウィル・スミス、ホワキン・フェニックス、カンバーバッチなどの強烈なメンツと並び、西島秀俊を選んでいる。
https://www.nytimes.com/interactive/2021/12/07/magazine/best-actors.html?action=click&module=RelatedLinks&pgtype=Article

日本でも公開済みなので観た方も多いと思うけど、予告編はこちら。

―― まずローリング・ストーン誌の選ぶ今年のベスト映画で見事1位に!
その中で、この作品をこう評している。

「このマラソンくらい長い作品は、『ハッピーアワー』に続くまたしても傑作」と絶賛。
さらに「今年公開された『偶然と想像』も傑作で、濱口は輝かしき1年を送っている」、「濱口の芸術、人生、喪失、治癒、許しに対する解釈は独自の生き物であり、人間のシンプルなやり取りをいかに説得力のある映画に変える事ができるのかという、最も豊かで、報酬のある見本である」

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1位『ドライブ・マイ・カー』
ローリング・ストーン誌はその他、
8位に、ドキュメンタリー映画『The Velvet Underground
https://rockinon.com/blog/nakamura/200399
10位に、ハイムの末娘アナラ・ハイムが映画初主演した『Licorice Pizza』
11位に、『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放送されなかった時)』
https://rockinon.com/blog/nakamura/200062
なども選んでいる。

―― NYタイムズの年間ベスト映画でも見事1位に!

厳密に言うと、NYタイムズは2人のライターが選んでいて、1人が1位。もう1人は、1位を『サマー・オブ・ソウル』で、7位を『ドライブ・マイ・カー』。
そこでは、「人生と、死と、芸術に関する傑作」と評している。さらに9位にも、『偶然と想像』も選んでいる。2人のライターが10本ずつ選んだ中に、濱口監督の作品が3本も入っている。

その他、音楽に関係する映画としては、ローリング・ストーンと同様に1人のライターが、
1位に『サマー・オブ・ソウル』
10位に『The Velvet Underground』を選んでいる。

もう1人のライターは、
3位に『The Velvet Underground』

4位に『サマー・オブ・ソウル』を選んでいる。

―― LAタイムズ紙のオスカー予想
https://www.latimes.com/entertainment-arts/awards/story/2021-11-19/oscars-2022-buzzmeter-surveys-the-awards-season-to-come

LAタイムズ紙は、オスカー予想を掲載しているが、数人のライターの意見を総合すると、濱口監督は監督賞として現在6番目の候補に上がっている。
作品賞では、『ドライブ・マイ・カー』がなんと5本目に。
さらに、主演男優賞でもなんと西島秀俊が5人目に上がっている!
また脚色賞でも5番目の候補に。
もちろんインターナショナル長編部門でも2位に。さらに3位には、『偶然と想像』が入っている。

―― NY批評家賞で最優秀作品賞受賞!

これまで、すでにワシントンDC批評家賞や、ゴッサム・インディペンデント・フィルム・アワーズなどのインターナショナル部門で最優秀作品賞を受賞してはいたが、NY批評家賞では、インターナショナル部門ではなくて最優秀作品賞を受賞している。

濱口監督はNY映画祭の時など『ドライブ・マイ・カー』についてや、影響を受けた映画についての質問などにも答えている。

●村上春樹の小説と比べて、車の色を黄色から赤に変えたことなども訊かれている(笑)。さらに、村上春樹の小説の中に出てくるチェーホフの『ワーニャ伯父さん』をここで引用したのみならず、チェーホフ自体の解釈を加えていることなども。

●ここでは影響を受けた映画などについて。

オスカーのノミネーションも、グラミー賞と同じくらい読めないところがあるのでガッカリしたくないから、あまり期待はしないようにしたいが、アメリカでの評価がそれでも「傑作」と絶賛されていることには変わりがない。

オスカーのノミネーション発表は、来年の現地時間で2月8日だ。



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