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    興行成績裏勝者

    興行成績裏勝者

    『ニュー・ムーン』のぶっちぎりはさておき、
    興行成績のもうひとりの勝者は、『PRECIOUS』だ。
    これは以前トロント映画祭レポートでも報告させていただいた
    マライア・キャリーも脇役で出演の超インディ映画。
    まだ限定公開で、劇場は600館あまり(『ニュー・ムーン』は4000館)にも関わらず
    興行成績は6位で、先週より館数を増やしたため、観客動員は85%もアップしている。
    ハーレムに住む高校生の女の子プレシャス(写真)を主人公に
    性的虐待、家庭内暴力、アル中の母、妊娠など、かなりヘヴィな問題を描いたこの物語は、
    観ているのがあまりに辛く……(実際何度も目を覆ってしまった)、しかし本当に
    こういう子は外の世界に存在しそうだと思えるリアルな作品。
    とりあえずパジャマで駆け付けるような気軽さはない。
    ただ、突然ファンタジーが挿入されたりするところに救われ、
    彼女の生き様に希望があるところが共感を呼び、
    レビューでも絶賛されているばかりか、
    観客が増え続けている。
    制作費10ミリオンドルだが、限定公開なのにすでに21ミリオンの興収を上げている。
    トロント映画祭からの予想通り、
    今年のアカデミー賞で、主演女優、助演、作品賞にノミネートされるのは
    確実だろう。


    主役を演じたGabourey Sidibeは、この映画で初出演という新人。
    最近プロモーションでトーク・ショーに出ているのだが
    これだけヘヴィな作品に出ながらも、本当は
    インシンクの追っかけをしていたという、
    面白くてあまりにチャーミングな子なので、それも作品の人気を助けていると思う。
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