ソフィア・コッポラ『SOMEWHERE』が素晴らしかった!

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ソフィア・コッポラの新作『SOMEWHERE』がようやくアメリカで公開になった。さっそく行ってきましたが、私は素晴らしいと思った。

先に観た他の国のジャーナリストの友人は、「何も起きないし、まったく映画になってなかった」と酷評してたけど、その理由はわからんでもない。物語らしい物語がないからだ。しかし、少なくとも私にとっては、これまでもソフィアの映画は、物語よりも、フィーリングについての映画であって、フィーリングをベースにして映画を作るというそもそも非常に難解なことに挑戦しているのだと思う。と前作の時も書いたような気がするが。それなのに、映画がしっかりと地に足に付いている。中々できることじゃないと思う。

この作品は、しかもこれまでに比べたら最もミニマルで、彼女が得意とする音楽すらほとんど使っていないのだ。それは、当然さらに難しい挑戦で、なぜなら、音楽で、フィーリングを表現してしまうのは、割と簡単だから。

とりわけ前半に音がない。それは、主人公の頭の中が、BLURだからなんじゃないかと思う。そこで鳴っているのはボーーーっという音。それは、自分が朝起きてコーヒー飲んでシャワー浴びるまでの、ぼーっという音にも似ている。主人公の意識がはっきりしていないのだ。

しかし、やっぱり非常に肝心なところで音楽がじゃーーんと鳴る。そこでやっぱり涙が出そうになる……。

これがスティーブン・ドーフじゃなくて、無名の俳優だったら、むしろよくできた小難しいアート系として分かる人にだけ分かる映画として、簡単に評価されたかもしれない。しかしドーフだったということで、それでもより大衆に届くし、ダコタちゃんの妹、エル・ファニングも素晴らしかった。

というわけで、私はタランティーノの「贔屓」に大賛同!

で、突然ですが、今日で年内のブログが終わりとのことです。読んでくださった皆様、ありがとうございました!来年は7日から開始します。ちなみに、今日のNYは吹雪ですが、誰も傘をさしていません(兵庫さんへ)。

それではよいお年を!!!!
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