カラックス無冠。「しかしカラックス映画の真価に傷なし」カンヌ映画祭結果発表

カラックス無冠。「しかしカラックス映画の真価に傷なし」カンヌ映画祭結果発表

カンヌ映画祭の結果が発表されました。一瞬『ガーディアン』紙の記者を含む熱狂的なレオス・カラックス・ファンが、もしかして、と思った受賞式でしたが、世の中そんなに甘くありませんでした。ま、そんなものですよね。
http://www.festival-cannes.fr/jp/theDailyArticle/59528.html

しかし、カラックスを絶賛していたライターは、「受賞しなかったことで、カラックス映画の真価に何の損傷もない」とツイートしていました。負け惜しみではなく、カラックス映画というのはそういうものだと思います。それにそのライターは続けて「それにミヒャエル・ハネケの『Amour』も文句なしに良い映画だから」と付け足していました。

以前ご紹介した通り、批評家のレビューを平均すると、フランス国内でも、それ以外の国でも1位になっていたのは、結局パルムドールを獲った『Amour』でした。

それで、これは賞が発表される前ですが、当初から、カラックスの『HOLY MOTORS』に関しては、激愛批評家と、クビを傾げまくりの批評家に分かれていました。なので、記者会見でそれについて聞いた記者がいたようです。「あなたの作品は大衆向けとは言えませんが、それについてどう思いますか?」と。

そしたらカラックスの答えが。

「そもそも大衆って誰なんだ?」と。

「俺に分かるのは、そのうち死んでいく大勢の人達ってことくらいだ。だとしたら、俺はその大衆とやらに向けて映画を作っているわけじゃない。俺はこの映画を特定の人に向けて作ったのであり、だから観たいと言って観に来てくれる人がいればそれでいい」と。

って語る彼のこの映像見てやってください。
http://www.youtube.com/watch?v=X85ot1TR8IE&feature=related

今年51歳。こんな絵に描いたようにカッコいい人っているんですね。そもそもアメリカだと、公でこうやってタバコ吸う人がいないので、それだけでちょっと衝撃。しかし、世の中の皆さん、どう頑張っても真似できませんので、要注意。

というわけで、カラックス映画は、カラックスファンなら期待を裏切らない興奮の作品なのだと思います。そしてその存在が映画祭をかき回したことに変わりはありません。個人的には、その他ブラッド・ピット主演作『Killing Them Softely』もかなり気になりました。思いきり政治的な作品だということです。

ちなみに、私のカンヌ映画祭ブログは自分が現場にいたわけでもなく、人々のレビューを読んで書いただけの疑似レポートです。 カラックス映画だって観れてないわけだし……。映画を観た後の本物レポートをお楽しみに!
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