フランク・オーシャン、初恋の相手が男の子だったと綴る感動的な声明文を発表する

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今日、アメリカは独立記念日でみんなBBQと花火なのだが、そんなパーティモード返上で、アメリカ中、または世界中を駆け巡ったニュース。

フランク・オーシャンが、実に、誠実に正直に、自分のセクシャリティについて告白した声明文を発表した。
http://frankocean.tumblr.com/post/26473798723

実はこれはそもそもこれから発売される新作の『チャンネル・オレンジ』のサンキューノートとして掲載される予定だったのだが、イギリスのジャーナリストが、新作を聴いて「彼はゲイなのでは」とコメントしたことから発生したオーシャンへのツイッターなどでの中傷などが過激化したため、アルバムの発売前に、この声明を発表することにしたといういきさつ。

「どんな人間であろうとも、どんな時代であろうとも……思うに、僕ら人間というのは結局みんな同じなんだと思うようになった。人間というのはつまり、暗闇の中をくるくると回り続けているのだと。そこで、見られたいと、触れられたいと、誰かに気付いて欲しいと、そう思っているだけなんだと」

とそのサンキューノートは始まる。

そして、
「4年前の夏に、僕はある人と出会った。僕は19歳だった。そして彼も19歳だった。僕らはその夏一緒に過ごして、その次の夏も、一緒に過ごした」。

「そして自分が彼に恋をしていると気付いた時には、もうそれ以外の選択肢は考えられなかった。それが僕の初恋だった。そして僕の人生を変えてしまった。だから、その時に僕がそれまで付き合ってきた、大事に思い、恋をしたと思っていた女の子達はそれでは何だったんだろうと考えてみた」。「恐らくあれは、僕が自分で話さない言語で、何かを書いているようなものだったのだと気付いた」。

「それで、僕は、自分の彼への気持ちを告白した。その言葉を発した瞬間に僕は泣き崩れてしまった。発してしまったら、もう二度と取り戻すことができないその言葉に深く悲しみを抱いた。彼は、僕の背中をさすり、優しい言葉をかけてくれた。彼は精一杯の誠意を見せてくれた。だけど、僕と同じ心境を告白してくれることはなかった。彼はすぐに家の中に戻らなくてはいけなかった。もう夜も遅かったし、彼のガールフレンドが家の二階で待っていたから。それから3年、彼は僕への正直な気持ちを語ってくれることはなかった」。「だから僕は、まるで崖から突き落とされることを想像しては……いや、崖ではなくて、実際は車の中だったわけだけど、絶対上手くいくからと自分に言い聞かせていた。そして深呼吸をした」。「僕は彼なしの人生は考えられなかったから、彼との奇妙な友情関係を続けた。でも自分の感情をコントロールするのはすごく難しくて、中々成功することはなかった」

それで、彼との関係がその後どうなったのかは曖昧なままなのですが、でも恐らく終わったんじゃないかと思う。そこから、このアルバムを作り、そして冬が来て、2011年12月27日に飛行機の中で今これを書いている、という流れ。

「アルバムを作ることで、自分を忙しくし、精神状態を正常に保とうとした。そして、このアルバムで、自分の世界よりも、より輝く世界を描こうとした。溢れんばかりの感情を描こうとした。そしてそれがどこまで自分を連れて行ってくれたのかを知り、自分でも驚いた」と。

こんな自分の話を聞き、助けてくれた人達みんなにお礼が言いたいと。そしてあの夏と、彼にお礼が言いたいと。

「これからの人生がどうなるのか自分でも分からない。でも僕はもう大丈夫。もう隠していることもないから。いや、まったくないわけじゃないけど、でも言いたいことわかるよね」。

「生きていると感じるのは、死に近い体験をする必要があるのかもしれない」。

「僕は今自分が本当に自由だと感じる……だから耳を澄ませば、世界の終わりだって聴こえてくる」とこの自ライナーノーツは終わる。

あまりに正直であまりに感動的。

実は、アメリカのジャーナリスト達が、アルバムのリスニングセッションを行ったレポートを一斉にしたけど、私もそこで一緒にリスニングに参加させていただいておりました。あまりの原稿の締め切りがきつきつでレポートできていなくてすいません!

見るからに選ばれに選ばれたメンバーという感じで(私以外は)、10人しか参加していなくて、フランク・オーシャンが一緒にはいたんだけど、寡黙に音を鳴らすだけ、という世界。事実上2枚目だけど、正式にはデビュー・アルバムとなるこの作品。この声明文以上に世界を揺るがす作品になることは間違いなしです。

ちなみに、今回の彼の声明文発表については、非常に勇気のある、かつ感動的な行動とアメリカのジャーナリストは激賛状態。ラッセル・シモンズなどは、彼のこの言葉がヒップホップ界を、世界を変えることになるだろうとまで発言していた。

しかし、例えばグリズリー・ベアのエド(ゲイであることを公表)などは、ツイートで、彼の行動は非常に勇気があり感動的としながらも、これをこういう形で公開しなくてはいけなかった、酷い彼への中傷を見るにつけ、「まだまだ僕らの道のりは長いことを痛感した」ともコメント。
https://twitter.com/#!/edwarddroste

ちなみに、彼もメンバーの一員であるOdd Futureはそのゲイ嫌い的な歌詞でも問題となっているが、Tyler, The Creatorは、

「兄貴とうとう告白したか。ったく尊敬するぜ。どう考えても超大変とか、何かなわけだからな。まあてなわけで、俺はトイレに行ってくるわ」とコメントしている。
https://twitter.com/#!/fucktyler/

フランク・オーシャンの最新作『チャンネル・オレンジ』アメリカの発売は、7月17日!

写真はリスニングセッションの模様。すべてがオレンジで統一されていた。
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