※『DOPPEL』の発売までカウントダウンしつつ、アルバムの楽曲を1曲ずつレビューしていきます。
M-6 “白夜”
《だいたいこれは黒い魔法/僕は存在意義をメモリーに録る》。初めてこのフレーズを聴いたときのインパクトといったらなかった。歌詞全体を読めばわかるが、ここでいう「黒い魔法」とは明らかに「音楽」のことである。メジャー1stアルバムにして、自分たちのやっていることを「黒い魔法」だと断言してしまう、その視点。いいバンドだとは思っていたけど、ここまで凄みのある表現者だとは思っていなかった。“MUSiC”のレビュー(下記リンク参照)でも書いたが、そこで歌われていた「君が忘れない、忘れられない歌」とこの「黒い魔法」は、究極的には同じものだ。谷口鮪にとって音楽とは誰かの心に自分の存在や記憶、すなわち「傷」を刻みつけるためのものであり、人間なんて消えていくし忘れていくものなのにそんなことをやってしまうのは「黒い魔法」である、という認識は、彼のなかにずっとあったものだろう。それを恋愛や青春のストーリーで包むこと無く、裏打ちのハットとハイトーンのギターが軽快なダンス・ナンバーだが、鮪の歌はかなりヒリついている。個人的にはこのアルバムのハイライトだと感じる1曲。これを作らなければ、KANA-BOONは先に進めなかったと思う。
ところでKANA-BOON、HMVのサイトの「music
curator」という企画に参加して、「デビュー作」という観点でお勧め作品をピックアップしてるんですが↓
http://hmv.co.jp/news/article/1310160002/
ドラムこいちゃんのチョイスがとりわけ絶妙。
M-1 “1.2. step to you”
http://ro69.jp/blog/ogawa/90804
M-2 “ワールド”
http://ro69.jp/blog/ogawa/90810
M-3 “ウォーリーヒーロー”
http://ro69.jp/blog/ogawa/90892
M-4 “MUSiC”
http://ro69.jp/blog/ogawa/90954
M-5 “東京”
http://ro69.jp/blog/ogawa/91019