※3月26日発売、back numberのニューアルバム『ラブストーリー』を、発売日までカウントダウンしながら1曲ずつレビューしていきます。
M-11 ”頬を濡らす雨のように”
この“頬を濡らす雨のように”とラストの“世田谷ラブストーリー”の2曲が描き出す、温かくて大らかな情景は、この『ラブストーリー』というアルバムのひとつの「結論」、バンドがアルバム1枚をかけてたどってきた心の旅の先でたどり着いた地のように思える。
歩き出した僕らには 立ち止まってる時間も
戻る場所も 無いように思えるけど
手は差し伸べられてる 優しいあの歌のように
僕を照らす君のように
という最後のサビの歌詞は、アルバムの1曲目“聖者の行進”でひたすらに前に向かっていた姿とも重なるが、同じように歩いている主人公でも、その足取りはまったく違う。「彼」は自分の幸せと同じように「君」の幸せを願い、ふたりで前に進んでいけることを心から信じることのできる強さを持っている。この曲はアルバムの制作において最後にできた曲だそうで、清水依与吏が最初に着想を得てからは、あっという間にできあがってしまったらしい。メロディの美しさ、さらさらと流れていくような構成、シンプルなアレンジ。まるで憑き物が落ちたようだ、というのがいい表現なのかはわからないが、間違いなく何かひとつのトンネルを抜けたような清々しさが、この曲にはある。あるがままの姿で、自分にできる最大の大きさで、自分の立っている場所を肯定する。尊くて美しい曲だ。
明日はM-12 “世田谷ラブストーリー”です。
アルバム発売まであと2日!
↓これまでのレビューはこちら。
M-1 ”聖者の行進“
http://ro69.jp/blog/ogawa/98879
M-2 “繋いだ手から“
http://ro69.jp/blog/ogawa/98907
M-3 “003”
http://ro69.jp/blog/ogawa/98928
M-4 “fish”
http://ro69.jp/blog/ogawa/99019
M-5 “光の街”
http://ro69.jp/blog/ogawa/99093
M-6 “高嶺の花子さん”
http://ro69.jp/blog/ogawa/99163
M-7 “MOTTO”
http://ro69.jp/blog/ogawa/99252
M-8 “君がドアを閉めた後”
http://ro69.jp/blog/ogawa/99267
M-9 ”こわいはなし”
http://ro69.jp/blog/ogawa/99277
M-10 “ネタンデルタール人”
http://ro69.jp/blog/ogawa/99324