少しだけ昔話。私が初めてオーラルを観たのはメジャーデビュー前の対バンイベントだったが、「やたら殺気立ってる人たちだな」と感じたのを憶えている。対バン相手のみならず目の前の観客すらも敵視しているかのようなギラギラとした野心。それが気になって、半ば怖いもの見たさに近い感じで彼らを追い始めた。
今日、山中は「あなたたちを独り占めにしたい」「日本一カッコいいバンドになる」と言っていた。と同時に、「守るべき人がハッキリ見えているからそういう人を大切にしたい」とも言っていた。滾らせた野心はそのままに、その刃を向ける方向性とか、「誰に何を伝えたいか」というアウトプットの方向性とか、この数年間でそういうものが大きく変わっていったんじゃないかと思う。
だからこそ『FIXION』はああいうアルバムになったし、そのレコ発である今回のツアーではこういうライヴが繰り広げられたのだろう……と続けたいところだが、少々話が長くなりそうなので、その辺りは後日アップのライヴレポートにて。
ツアーファイナル・なら100年会館での凱旋ワンマンを終えた頃にはバンドも一皮剥けていることだろう。深化の兆しが見えたライヴだった。(蜂須賀ちなみ)