先日、フルサイズで公開されたアニメ『３月のライオン』の第１期オープニングテーマでもあるBUMP OF CHICKEN“アンサー”のMVは、同アニメを制作しているシャフトが監修を担当。昨年10月から今年3月まで放送されたアニメ第1シリーズのさまざまなシーンも織り交ぜながら、この“アンサー”という楽曲に込められた、『３月のライオン』の物語と深い部分で繋がるメッセージを鮮烈に浮かび上がらせる映像に仕上げられている。
BUMP OF CHICKENは、アニメ主題歌としてこの“アンサー”を手掛ける前にも、後に同アニメの第1期エンディングテーマとしても使用されることになる楽曲“ファイター”でコミック『３月のライオン』とコラボレーションしており、BUMP OF CHICKENの楽曲と、羽海野チカが描く『３月のライオン』の物語に共通の世界観があることは、それぞれのファンにもよく知られている。ここではこの“アンサー”のMVの中でも、歌詞とアニメの映像の重なりに心を揺さぶられずにはいられない場面を、画像と共に紹介する。


《魔法の言葉憶えてる　虹の始まったところ》寝床から電気を見上げる零、その脳裏に浮かぶ川本三姉妹の顔。月島に零がひとりで暮らし始めたときは、慣れない町を白黒の風景として眺めていたけれど、橋の向こう側に住む「いつでもおいで」と言ってくれる人たちと出会えたことで、その町に色がついていったように感じた。


《本当の声はいつだって　正しい道を照らしてる》零を叱咤激励するライバル・二海堂の顔。テレビの将棋対局の解説者として出演した二海堂が、零の敗着の一手に対して激昂して「もっと自分の将棋を――自分を大切にしてくれっっ」と熱く叫ぶ名シーンが思い出される。


《鈍く残った痛みとか　しまってしまった想いとか》義姉である香子の前で、後藤に殴られる零。フラッシュバックする、もうこの世にはいない零の両親と妹の姿。


《失くしたくないものを　見つけたんだって気づいたら／こんなに嬉しくなって　こんなに怖くなるなんて》零の隣を歩く川本家次女・ひなたの屈託のない笑顔。


《想像つかない昨日を越えて　その延長の明日を抱えて／小さな肩　震える今　それでも笑った》椅子に座った少年の零に、ひなたが手を差し伸べる。先述の“ファイター”でのコラボレーション時に、羽海野チカが描き下ろした短篇『ファイター』（アニメ第１シーズンの最終話にもなった）に登場する小学生時代の零が思い出される。


《二度ともう迷わない　迷わない》強い視線で前を見つめながら進む、逞しい零の姿。

このBUMP OF CHICKENの“アンサー”MVの特集記事は、2017年5月19日（金）発売の雑誌『CUT』にも掲載されます。

なお現在、毎週金曜19:25から、NHK Eテレにてテレビアニメ『３月のライオン』第1シリーズが再放送中。

番組情報は以下の通り。

●番組情報
テレビアニメ『３月のライオン』
原作：羽海野チカ （白泉社『ヤングアニマル』連載）
監督：新房昭之
アニメーション制作：シャフト
［再放送］NHK Eテレにて毎週金曜19:25～19:50

©羽海野チカ・白泉社／「３月のライオン」アニメ製作委員会

（古河晋）