今日はモリッシーの来日最終公演が大阪で
2016.10.02 13:25
昨日の横浜公演の突然のキャンセルは、本当に本当に残念で、楽しみにしていた人にはかける言葉もない。
楽器、映像などの面で「アーティストが望むステージセットを完全に設置することが困難」で「万全な状態でないとショーを行えない」という理由だそうだが、
今日、最終日となる大阪公演ではきっとモリッシーの理想のステージが行わることだろう。
行かれる方、しっかり堪能してきてください。
今回の来日公演を観て改めて感動したのは、
2016年の今、彼が世界に発したい美しい「歌」をしっかりと聴ける喜びだ。
天才的なシンガーソングライターとしての魅力と、
たったひとりで世界と闘い続けるアーティストとしての先鋭性が、
より「音楽」として自然に融合しているように感じられた。
たとえばプロフェッツ・オブ・レイジが、「世界は何もせずに変わっていくことはない。それは君次第だ」というメッセージを掲げ、アメリカの大統領選を前に緊急始動したことはとても晴らしいが、
その一方で
合理性も効率もへったくれもなく、どんな時もずっとずっとひとりで闘い続けているモリッシーの苛酷なまでの美しさは本当に凄い。
傷つき、こてんぱんにやられながらも、
「それでも僕は生きて、息をしている」
と彼が歌い続けることで、今なお世界中の多くの人々が心を奮い立たせている。
2日目のオーチャード・ホールを観たのだが、その余韻がまだ強く残っている。
初日に観客がステージ前に押し寄せたこともあって、始まるまでは場内にピリピリした空気が漂っていたが、
恒例の映像の後にメンバーが登場すると、お互いが向き合ってお辞儀し、
1曲目にモリッシーが白いシャツを(ボタンを全部はずすわけじゃなく、Tシャツみたいに頭からすっぽり)脱いで客席に投げた瞬間から、完全にそのモリッシー・ワールドだった。
マイク・シールドを首に回して歌っていたら、ネックレスにからまってとれなくなって、しばらく静止したままスタッフにとってもらいながら歌い続けていた。
今回のツアーのキモとなる“ミート・イズ・マーダー”は演奏しなかったが、アンコールでラモーンズが聴けた。
来日公演初日のレポートはこちら。http://ro69.jp/news/detail/149169
(井上貴子)