日本のファンは、骨折による直前キャンセルもあり、半年~1年以上待ち望んでいたわけだが、それだけに終わってしまうとなんともせつない。
ちなみに大阪では阪神の、昨日の武道館では読売のユニフォームをアンコールで着て出てきたが、今日はサッカー・チームだったそうだ。
たったひとりで、何ものにも取り換え不能の自身の肉体とギター1本だけで、世界とつながっていくエド・シーラン。子供のように自由に、おおらかに、瞬間瞬間を楽しみながら。
この時代のポップ・ミュージックのあり方を、ぐっと健全な方向に導いた、彼の人となりと凄まじい才能を好きにならない人はいないと思うが、今回の来日でさらに多くの人が強く深く恋したことだろう。
ヒット曲だらけのエドの歌には、「出会い」と「別れ」がいっぱつまっている。
ひとりで旅に出て、仲間と出会い、新しい世界にときめき、傷つき、勇気を学び……
映画『ホビット 竜に奪われた王国』のエンディングを歌っていたことも手伝って、彼の旅路は『ホビットの冒険』を彷彿とさせる。
現在発売中のロッキング・オン5月号に彼のインタヴューを掲載しているが、そこにも、そんなエド哲学を感じさせる言葉があった。
「他の人に対して『電話は絶対に持つな』とは言わないよ。必要な時があるかもしれないからね。
ただ、仲間と飲みに行ったり夕食に出かけたりするときに電話はいらないよね。そういう時は鞄に入れたままにするか、誰か他の人に預けておくんだな」
『÷』を作った後、彼は1年休みを取ってソーシャルメディアのデトックスを行ったそう。その時のエピソードについて語っているのだが、彼がどのように世界と向き合っているかがよく伝わってくる。
また、
●あなたのタトゥーは、それぞれ個人的な思い出とつながるものだとおっしゃっていましたが、一番新しいものはどんなタトゥーですか? 次はどんなものを入れるんでしょう?
という質問については
「今のところ次の予定はないけど、最後に入れたのは背中の大きな四角形4つ。
子供ができたら、その子たちの手形を入れたくてね、
そのための場所を作っておこうと思ってさ」
という何とも素敵な答えが。
この、アジア・ツアーの皮切りとなったシンガポール公演の密着記事に加え、
キーワードで探る検証テキスト、
アルバム全3作品徹底レヴュー、
という立体企画で、エド・シーランの魅力をたっぷり解き明かしている。まだの方はぜひ読んでほしい。
他にも、ここでしか読めない写真や撮りおろしインタヴューを本誌のバックナンバーで掲載。
読みたい方はこちらで買えます。(井上貴子)