いよいよ明日7(木)発売のロッキング・オン6月号では、
The 1975が表紙巻頭特集に登場する!
彼らは、2000年代初めにマンチェスター郊外で「ナードっぽくてギークっぽいエモ・コアみたいなバンド(マシュー・ヒーリー)」として始まり、2010年代にロックにはまだまだサヴァイブできる道があることを証明し、2020年代に至ってこの新ディケイドにおけるロックの究極回答を突きつけた。
マシューの発言通り最新4thアルバム『仮定形に関する注釈』は、ポスト・パンク以降のありとあらゆるロック・メソッドからヒップホップやアンビエントやジャズ、さらにはアメリカーナさえ軽やかに呑み込みながら、22曲81分にわたってこの時代のリアルで不穏なサウンドトラックとして鳴り響く。僕らは、いろんな側面を見せることを恐れていないんだよ。常にパンクの格好をしてパンクっぽいことをしなきゃいけない、とかいうバンドと違う。
そこを超意識するようになってから、音楽を作ることの自由を本当の意味で受け入れられるようになったんだ
そもそもThe 1975というアーティストの属性は、極めて古典的だ。
10年に及ぶ長い下積時代(13歳の若さで始めたにせよ)、U2やレディオヘッドと同じく結成以来メンバーは不動、アルバムというフォーマットへの偏執的なまでのこだわり、フロントマンがハード・ドラッグに侵され存続の危機に瀕した顛末 ―― 歴代ロック・レジェンドたちのバイオグラフィーと見事に重なり合う。
しかし、彼らはどこまでも斬新で、今日的だ。
それは環境問題、ジェンダー・イシュー、ドラッグ、ネット社会のメンタル・ヘルス、ユース・カルチャーなどに斬り込んでいるから今日的だ、などという次元ではない。
それらに向き合うアティテュードが、「大胆になろうとしてるんじゃなくて、退屈を回避しようとしてるんだよ(マシュー)」、だからだ。
ニヒルとか退廃的とかでは全くない。
天文学的な数の不安に憑りつかれているのに退屈にならざるを得ないミレニアル世代やZ世代のメンタリティに対して、愚直なまでに誠実なアティテュードなのだ。
そこを貫けているからこそ、底流にあらゆる劇薬がブレンドされた極上のポップ・ミュージックとなって、常に全英でも全米でもチャートの覇権を競えるのである。
ロッキング・オンは、彼らの1stアルバム(2013年)からその画期性に注目し、新作リリースや来日公演のたびに取材を重ねてきたが、今回提示された究極回答を前にして総力特集を組む時が来たことを確信した。
パンデミックの中、Facetimeで敢行したマシューへの独占インタビュー2本をはじめ、ぜひとも隅々までご堪能いただきたい。(茂木信介)