「軽やかで喜びに溢れるアルバムを作りたかった。今自然について考えると、すぐに地球温暖化を連想する。私もそうだった。
だからこそ、悲しくてヘヴィーなものよりも、ラブ・ストーリーみたいに響くアルバムにするのがすごく大事だった」
ロード待望の4年ぶり3作目『ソーラー・パワー』が完成した。いかにも自然崇拝な雰囲気があるタイトルだが、彼女が「地球温暖化についての作品ではなく、ポップ・ミュージック」と言ったのが興味深かった。
実際、地球温暖化を描き、クロスビー、スティルス&ナッシュなどのアコギ・サウンドに大きな影響を受け、今をときめくフィービー・ブリジャーズとクレイロがハーモニーで参加。60年代的理想主義などをモチーフにし、より大きな存在へ回答を求める精神的な旅が描かれていて、成功後成長したアーティストが辿る真っ当な道とも言える。
が、デヴィッド・ボウイに「音楽の未来」と絶賛されただけあり、作品はどこか普通じゃない。ジャック・アントノフとのプロダクションは、60年代的サウンドを解体した後、精密に重ね気持ち良い響きを生み出してはいるが、その再構築がどこか異質で、正に2021年的な奇妙さを映したポップ・ミュージックになっているのだ。
ビリー・アイリッシュなどが続いたオルタナ・ポップを開拓した彼女がその稀有な道を邁進することを証明する今作。お互いNYにいながら今日的にZoom対面し訊いた。(中村明美)
ロードの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』10月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。