トム・ヨークの息子ノア・ヨーク、本人名義で初の楽曲を発表! アルペジオと不協和音が印象深いバラードを引っさげ、彼の旅路が今始まる

トム・ヨークの息子ノア・ヨーク、本人名義で初の楽曲を発表!  アルペジオと不協和音が印象深いバラードを引っさげ、彼の旅路が今始まる - rockin'on 2021年12月号 中面rockin'on 2021年12月号 中面

音楽を志す少年にとって、「父親がトム・ヨーク」というのはなかなかタフな前提条件なんじゃないだろうか。親の七光りを浴びる以前にプレッシャーが容赦無く降り注ぐだろうし、トムの長男であるノア・ヨークが、これまで匿名で音楽を作ってきた理由もその辺りにあるのかもしれない。そんなノアがついに本人名義での初ナンバーとなる“Trying Too Hard (Lullaby)”を発表! ジョニー・グリーンウッドも「素晴らしい曲じゃないか、今日初めて聴いたんだけど感動したよ。ノア、よくやった」とツイートするなど、早くも話題となっている。

ノア・ヨークは2001年生まれの現在20歳。ノアという名前はトムが「ノアの方舟」から着想を得て命名したと言われており、『キッドA』/『アムニージアック』時代の彼が希望を託した子供だったことが窺える。ちなみにトムには『アムニージアック』後の約半年間、ノアの子育てに専念していた時期がある。ノアを寝かしつけながらイラク戦争前夜の不穏なニュースの数々を観ていたという彼は息子の未来を憂い、当時の心境が『ヘイル・トゥ・ザ・シーフ』の歌詞にも克明に刻まれている。

レディオヘッドのファンが今回の“Trying Too Hard (Lullaby)”を「“あの”ノアが!」と嬉しい驚きと共に迎えたのは、彼と父とレディオヘッドのそんなエピソードの数々を知っていたからでもあった。

前述のように、ノアは10代の頃から別名義のAlec OwenやHex Girlfriend として「ヨーク」の名前を伏せて活動しており、Bandcampで試聴可能なAlec Owen時代の音源はテクノやドラムンベース、さらにはガラージ、ブレイクスといった打ち込み主体のナンバーが中心で、興味のあるマテリアルをごちゃごちゃとかき集めてみた、といった趣の宅録集だった。

それと比較すると“Trying Too Hard (Lullaby)”の完成度、自分の歌を他者に届ける覚悟の定まりぶりは段違いだ。アコギの弾き語りをベースに徐々にアンビエントな幻想世界へと広がっていくそれは、“エグジット・ミュージック(フォー・ア・フィルム)”を彷彿とさせる佳曲。声にも父の面影があるが、その歌声はトムよりも少しだけ無邪気だ。まずは第一歩、ここから始まるノア・ヨークの彼だけの探求の旅路に期待したい。(粉川しの)



ノア・ヨークの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』12月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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