『ネヴァーマインド』30周年:オリジナル盤リマスターに、初公式リリースの4大ライブ音源など ── ロックを変えたモンスター・アルバムの超大スケール・アップで、ニルヴァーナの極点が浮き彫りに!

『ネヴァーマインド』30周年:オリジナル盤リマスターに、初公式リリースの4大ライブ音源など ── ロックを変えたモンスター・アルバムの超大スケール・アップで、ニルヴァーナの極点が浮き彫りに! - rockin'on 2021年12月号 中面rockin'on 2021年12月号 中面

文=大鷹俊一

ビリー・アイリッシュ“ホエン・ザ・パーティーズ・オーヴァー”の黒い血の涙を流すMVを観たとき、なぜかニルヴァーナカート・コバーンのことを思い出した。

楽しかったはずのパーティーが終わり、家に帰っての虚無が呼吸のたびに伝わってくる楽曲は、カートがあの成功を得てからずっと感じていたものと通じるのかもしれない。そんなことを改めて思い出させたのは、もちろん『ネヴァーマインド』発売30周年のアニヴァーサリー・エディションがきっかけだった。そこでの音に接していると、その傷口からはまだまだ血が流れ続けていた。

すべての基本のアルバム『ネヴァーマインド』は、オリジナル1/2インチ・ステレオ・アナログ・テープから192kHz/24bitのハイレゾでリマスターされ、CD5枚+Blu-rayのスーパー・デラックス・エディションは、オリジナル・アルバムに加えアムステルダム、デル・マー(カリフォルニア)、メルボルン、東京の計4ヶ所のライブ(アムステルダムは映像付き)で構成され、2CDのDX版には前記4公演を編集したライブ盤が収められている。

1991年9月24日にリリースされた『ネヴァーマインド』は、先行発売した“スメルズ・ライク・ティーン・スピリット”と共に一気に世界中で大ヒットとなっていく。先月号の〈ガンズ&メタリカ、80年代ハード/メタル〉の特集でも書いたように、当時のアメリカの音楽シーンは華やかそのもの、一種のバブル状態だったが、軽視されていたのは、カレッジ・ラジオのヘヴィ・リスナーや、ライブハウスで日常的に地元の若手バンドに親しむ人たちが愛する音だった。

例えばカートやクリス・ノヴォゼリック等が同郷のメルヴィンズを追っかけたり何かと世話になったりしたのと同じような関係が全米各地で無数にあり、それをすくい上げていたのが、地元のインディ・レーベルや大学等のつながりを背景としたライブ・ネットワークだった。

それがあったからこそソニック・ユースやダイナソーJr.、R.E.M.等は根強い支持を広げていくことができたし、シアトルのレーベル〈サブ・ポップ〉が、新興インディでありながら〈Sub Pop Singles Club〉と称して会員制で定期的にシングル・レコードを配布するようなユニークな活動を始めることができたのだ。(以下、本誌記事に続く)



ニルヴァーナの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』12月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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