今年の音楽シーン最大の事件のひとつとなった、ケンドリック・ラマー vsドレイクのビーフ。発端は3月にリリースされたフューチャー&メトロ・ブーミンのアルバム『WE DON'T TRUST YOU』収録の楽曲“LikeThat”で、ケンドリックがドレイクとJ. コールをディスったことに由来する。
自身をプリンスに、ドレイクをマイケル・ジャクソンに喩えながら強烈な批判を展開。元々は昨年ドレイクのアルバムでJ. コール「誰が最もすごいMCか議論だ、ケンドリックかドレイクか俺か」といった内容を歌った曲“First Person Shooter”があり、ケンドリックはそのアンサーを返したような形だった。4月に入りJ. コールはケンドリックに対し、ミックステープ『Might Delete Later』で反論するも、すぐさま撤回。さらに、突如リリースされたフューチャー&メトロ・ブーミンの続編アルバム『WE STILL DON'T TRUST YOU』にJ. コールが参加していたことで、構図としてはドレイクが孤立したような見え方になった。
その後、ドレイクは “Push Ups”や“Taylor Made Freestyle”という曲で、ケンドリックの楽曲の収益を所属するレーベル:TDEが50%持っていっているのではないかという噂に言及したり、《プリンスはマイケル・ジャクソンの子どもだろ》と言い返したりもした。
さて、このあたりからふたりの怒涛の応酬が始まることに。ケンドリックが “euphoria”でアンサーを返したのち、続けて“6:16 In LA”をリリース。するとすぐさま同日にドレイクが“Family Matters”で反撃し、さらに20分後ケンドリックが“meet the grahams”を出し……と、信じられないスピードでのやり取りに発展。
その翌日にはケンドリックが“Not Like Us”で追い打ちをかけつつ、ドレイクの自宅の写真に性犯罪者を彷彿とさせる印をつけたアートワークも物議を醸した。ドレイクもまた“The Heart Part 6”で反論したが、ついに5月7日にはドレイク宅の警備員が銃撃されるという事件が発生。この銃撃自体はビーフとは関係ないという話もあるが、とにかく、他にも多くのラッパーを巻き込みエスカレートしていった両者のやり取りは、ビーフというもののあり方を考えるきっかけになったのは間違いない。 (つやちゃん)
ドレイク vs ケンドリック・ラマーの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』7月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
Instagramはじめました!フォロー&いいね、お待ちしております。