フランツ・フェルディナンドが新作リリースを発表。原点回帰的な先行シングルで期待感はマックスに!

フランツ・フェルディナンドが新作リリースを発表。原点回帰的な先行シングルで期待感はマックスに!

フランツ・フェルディナンド・イズ・バック。6年半という彼らのキャリア史上最長のスパンを経た待望の新作『ザ・ヒューマン・フィアー』を2025年1月10日にリリース(国内盤は8日に先行)することを発表し、併せて先行シングル“オーディシャス”を解禁したフランツ。彼らのファーストアルバムと同系でブラック、オレンジ、クリームの3色を用いクールにデザインされた“オーディシャス”のアートワークを見てまずニヤリとし、さらに再生して“テイク・ミー・アウト”を彷彿とせずにはいられない転調しビートを差し引いてのコーラスを聴いて、つい快哉を叫んでしまった。アルバム毎に異なる作風に挑み、確実なる成果を獲得してきたバンドだけに「これが聴きたかった」とは思わずも、「これがまた聴けるのか」という感慨に打たれたのが正直なところだ。

オリジナルメンバーであったニック・マッカーシーの脱退とディーノ・バルドーとジュリアン・コリーの加入という大きな転機を乗り越え、それまで以上にシンセサイザーを強調した新たな音像を確立した2018年の前作『オールウェイズ・アセンディング』。さらに2021年にはポール・トムソンの脱退、オードリー・テイトが加入し、2022年に初のベスト盤をリリースと、「区切り」となって然るべき複数の事案を経てきたフランツが今、「そもそもフランツ・フェルディナンドとは何か」を改めて自らに問うた結果として、彼らにとって原初にして最強の型に再度手を出すに至った、と考えるべきだろうか。

ただし、原点回帰に留まらず、最後のコーラスではザ・キンクスを思わせる牧歌的なビッグメロディへと広がりを見せつつブツリと唐突に曲を終える確信犯的な構成で、新鮮な驚きと共にアルバムへの期待感も高めているのが本当に如才ない。

アレックス・カプラノスは「恐怖とは、自分が生きていることを実感させてくれるもの」であり、新作は「恐怖を通して人間であることのスリルを求める楽曲群」であると述べる。キャリアを積み酸いも甘いも噛み締めてきた彼らが「恐れ」を通じて描く「生」。これはどうにも、とんでもない人間賛歌が鳴り響く予感がする。(長瀬昇)


フランツ・フェルディナンドの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』11月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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