ジャック・ホワイトが、2024年の『ノー・ネーム』以来初となる新曲、“G.O.D. And The Broken Ribs”と“Derecho Demonico”の2曲を4月3日に突如発表。翌日放送の米TV番組では早くも生演奏を披露し、活動を一気に加速させている。4月11日にはコーチェラ・フェスにサプライズ出演。配信で目にした人も多いと思うが、モノクロ映像越しにも伝わるロックンロール全開のパフォーマンスで、会場に突風のような衝撃を叩き込んだ。
さらに5月からの全米/欧州ツアーも発表。ロンドンではダミアン・ハーストのギャラリーで初のアート展を開催予定で、書籍『Jack White Collected Lyrics and Selected Writing Volume 1』も刊行された。95歳の母の訃報という悲しい出来事もあったが、昨年50歳を迎え、ザ・ホワイト・ストライプスとしてロックの殿堂入りも果たした現在も、その勢いは衰えない。ジャックらしく生き急ぐかのように、全方向へと全力疾走を続けている。
近年は「史上最悪のアメリカ人」と現大統領を批判する発言でも話題を集めているが、ジャックはもともと直接的な政治ソングを書くタイプではない。ただ、コーチェラで見せたあのエネルギーには、現在の怒りや切迫感がギターとして噴出していたのも確かだ。
今回の新曲もその延長線上にある。ガレージロックへ回帰した前作『ノー・ネーム』の流れを引き継ぎつつ、本領をむき出しにした曲だ。ストライプスを彷彿とさせる歪んだ2コード、スクリーチ気味のギター、骨太なブルース感覚。削ぎ落とされた生々しいサウンドで、この閉塞感を突き破る。《世界の終わりへようこそ》と始まる“G.O.D. And The Broken Ribs”、そして《竜巻の背に乗ってやってきた》と歌う“Derecho Demonico”。ときにスポークンワードのように語られる歌詞では、伝統的なブルース/ロックンロール的キャラクターを引き受けながら、秩序のない世界の中でも自分のルールで突き進む姿が描かれる。これが『ノー・ネーム』の延長なのか、それとも次なるフェーズの幕開けなのか。いずれにせよ、このエネルギー全開のジャック・ホワイトから目が離せない。(中村明美)
ジャック・ホワイトの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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