BEADY EYE アルバム全曲レヴュー!

BEADY EYE アルバム全曲レヴュー!

ビーディ・アイのファースト・アルバム『ディファレント・ギア、スティル・スピーディング』、レヴュー解禁! リアムが自身のロックンロールの血とビートルズへの愛を存分に迸らせた全13曲。さっそくトラック・バイ・トラックで紹介します。

1. Four Letter Word
セカンド・ストリート・シングルとしてすでにビデオが公開されている。
http://www.youtube.com/watch?v=DkU_rAzdlKk
「4文字言葉」と題された、ハード・エッジなリフからたたみかけるキレのあるロックンロール。ピストルズの攻撃性と、ツェッペリンの鋭さと、オアシスのスケール感がガツンとぶつかり合ったような、オープニング・トラックとしてあまりにも強烈な先制パンチとなっている。間奏のゲムによるギター・ソロも生き生きとしていて気持ちいい。


2. Millionaire
アコースティック・ギターから入ってくる、軽やかなサイケ・ナンバー。アシッド決めまくったビーチ・ボーイズというか、ハイになったジョン・レノンというか。スライド・ギターの上を滑る舌ったらずなリアムのヴォーカルが、愛嬌があってちょっとかわいらしい。

3. The Roller
これが正式なファースト・シングル。もともとはオアシスの『ヒーザン・ケミストリー』のセッションのときからすでにあった曲だ。
http://www.youtube.com/watch?v=pcOJu0g8dbw
歌いだしから連想するのはもちろん“愛こそはすべて”だが、中間部からは“ハーフ・ザ・ワールド・アウェイ”を思い浮かべたりもする。サビのメロディはむしろポール・マッカートニーっぽいかも。ビデオではゲムがピアノを弾いている。バンドの「近い」感じがことさらに伝わってくる温かい曲。

4. Beatles and Stones
タイトルがタイトルだけにどんな曲かと思いきや、リズムのハネる感じとギターの響きは思いっきりザ・フー(!!)。ロックンロールにブチのめされて、ロックンロールやりてえ!と叫ぶ……という、多少クリシェ的にロックンロールへの憧れを描いた曲で、“ブリング・ザ・ライト”と並んでもっともシンプルなコードで突き進む、明快にして痛快なナンバーだ。「ロックンロールがしてえ」というのはリアムの本音だと思う。それがビーディ・アイを走らせている。

5. Wind Up Dream
ちょっとニール・ヤングっぽい感じもあるダークなブルース・ロック。アルバムのほかのトラックがわりとアップリフティングなメロディで貫かれているのに対して、この曲だけは毛色が違う。ギター・ソロとヴォーカルの絡み合いなど、オアシスのときにはほとんど感じられなかった「艶」が印象に残る。


6. Bring the Light
おなじみ、記念すべきビーディ・アイのファースト・トラック。
http://www.youtube.com/watch?v=HfdYY1Iund
ジェリー・リー・ルイス、あるいは70年代ストーンズ風のピアノ・ブギー。シンプルきわまりない、ストレートなロックンロールでありながら、明らかに「オアシスではない」このトラックを「第一声」に選んだところに、ビーディ・アイのプライドと気合いが表れている。要するに「ギアを変えたぜ、でもロックンロールだぜ」ということだ。ベイビー・カモン!

7. For Anyone
ポップなメロディが心に響く、ネオアコ調ナンバー。“ソングバード”あたりにも通じるジェントルな雰囲気を感じるミッド・チューン。ビートルズのポップな側面を思いっきり引き出した感じ、といってもいい。ハンドクラップや60sポップ風リズムがかわいらしい印象を残しつつ、歌詞はといえばかなりベタなラヴソングとなっている。

8. Kill for a Dream
“シャンペン・スーパーノヴァ”にもタメをはりそうな、超傑作バラード! “ヘイ・ジュード”ゆずりの「ナ・ナ・ナ」コーラスで盛り上げる。このアルバム中でもっとも「オアシスっぽい」曲があるとすればこれだといえるかもしれないが、ひょっとしたらオアシス時代から温めてきた楽曲という可能性もある。

9. Standing on the Edge of the Noise
グラマラスな爆裂ロックンロール。“ブリング・ザ・ライト”に近いイメージだけど、こっちのほうが数段ハードだ。アルバム中でもっともリアムのヴォーカルが荒っぽい。“ドライヴ・マイ・カー”と“ゲット・バック”を足したような、つまりは中期〜後期のビートルズ・ロックンロール・マナー。

10. Wigwam
ストリングスの音色とグルーヴで聴かせる、モダンなサイケデリック・ロック。「シャ・ラ・ラ」コーラスや“オール・アラウンド・ザ・ワールド”的な大風呂敷感など、なんとなくアルバムのフィナーレっぽくもある。リアムのファルセットが聴けるのもポイント。本当に、このアルバムでのリアムの声は若々しい。

11. The Ring Circus
タイトルは「バカ騒ぎ」という意味。ジョン・レノン的ロックンロールで、重厚なブルース・ロックの雰囲気もある。ヴォーカルとコーラスで輪唱するところは、なんとなくオアシスのときを思い出させる。後期オアシスの延長線上にある曲ともいえ、これももしかしたらオアシス時代からある曲なのかも。

12. The Beat Goes On
ジョン・レノン節炸裂のバラードで、聴いた瞬間にリアム!という感じ。同時にドラマティックな展開は『アビイ・ロード』のメドレーも連想させたりもする。この曲と7曲目“フォー・エニワン”のスウィートなムードが、アルバム全体のなかでアクセントとして聴いている。優しげなヴォーカルもいい。

13. The Morning Son
アコースティックな弾き語りナンバーから、ドラムが入ってきて大きく展開する、アルバムの最後にふさわしい大作。逆回転ギターやストリングスなど、あらゆる方法論をつぎ込んで壮大なスケールを生み出している。“ホワットエヴァー”を連想させるところもある。

というわけで以上13曲。
「ロッキング・オン」3月号(2月1日発売)ではどの曲を誰が書いたのか、そしてアルバムの背景について、メンバー全員にがっつり聴いていますのでそちらもよろしく!(小川)
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