いや〜、楽しかった。
“ブラック・マジック・ウーマン”から”イーヴル・ウェイズ”(そういえば、つい先日、リンゴ・スターのライヴでも、この2曲を生で聴いたな)、そして"オエ・コモ・ヴァ”に、アンコール1発目だった”ソウル・サクリファイス”まで、とにかく聴きたい曲のオンパレード。
ほとんどの曲が途中でジャムに発展していくから面白いし、そもそもラテンのメロウなグルーヴは聴いていてまったく飽きない。
しかもサンタナ自身がとにかく熱い。
泣きメロ満載のプレイだけじゃなくて、トークも。
たとえば、60年代のウェストコースト・シーンの立役者であった伝説のプロモーターのビル・グレアムや、自身の再生のきっかけとなった『スーパーナチュラル』を企画した大御所クライヴ・デイヴィスなどと並べて、これまでの来日でずっとお世話になっているウドーの有働社長を紹介するだけじゃなくて、ステージに強引にひっぱってきて、ギターをプレゼントしたり、妻のシンディー・ブラックマン(凄腕ドラマー)をステージに招いて一緒にプレイするだけじゃなくて、「毎朝起きたら、こんなエンジェルが隣にいるぼくは幸せだよ。ほんとうにぼくはぼくで良かった」とのろけたり、「世の中すべてにはバランスがある」と哲学めいたことを言うと思ったら、「だからこういう場には相応しくないけど、ぼくはあれについて話したい。言っちゃうよ……S、E、X」と楽しげに話したり、とにかく演奏していないときも天性のカリスマで観客を圧倒していた。
もちろんプレイも冴え冴え。
パーカッション2人、ホーンズ2人、ヴォーカル2人、キーボード、ギター、ベース、ドラムという大所帯をバックに悠々とプレイしまくっていた。
その熱量は客席にもガンガン伝わってきて、年配のお客さんが多いのにもかかわらず、みんなわりと立って音楽にあわせて腰をふっていたのが印象的。
そして、それこそ60年代に人種の壁を乗り越えて彼が鳴らしていた音楽の本質だと思う。
それを40年以上経った今でも体現できているのはホントにすごいこと。
”ソウル・サクリファイス”の前に、サンタナ伝説のスタートと言っても過言ではないウッドストックの映像が流れたけど、サンタナの“お祭り感”満載の演奏はああいう環境がほんとうに合うと思った。ぜひ。(内田亮)