日経ライブレポート「フジロック・フェスティバル」

今年のフジロックも、とても見応えあるラインナップで、ほぼ一日中いろいろなステージを切れ目なく観て回った3日間だった。山中で行われるフェスなのでステージ間の移動が大変で、66歳の高齢者には過酷な環境ではあったが、演奏の素晴らしさに疲れを忘れることが出来た。

ビョークロードという、それぞれの世代を代表する女性アーティストのライヴを続けて観ることが出来た3日目のグリーン・ステージは今年のひとつのハイライトだった。キャリアを代表する曲をしっかり歌い、最後は花火と炎の演出でドラマチックなステージを見せてくれたビョークはさすがのパフォーマンスだった。フジロック2回目のロードは最新アルバムが全米1位を獲得、20歳の若さだが旬のアーティストらしい勢いのあるステージでフェスを盛り上げた。個人的には一番印象的なパフォーマンスだった。

新世代のソウル・ミュージックを担うサンファ、ギャラント、ラグンボーン・マン、ロックの可能性を広げる新しい才能であるルーカス・グラハムレモン・ツイッグス、そうした勢いのある若いアーティストがたくさん集結し、苗場に世界のポップミュージックの最前線がある感じが楽しかった。またエイフェックス・ツインザ・エックス・エックスLCDサウンドシステムなど多様なエレクトリック・ミュージックを体験できたのも良かった。小沢健二レキシくるりといった日本人アーティストの多くが入場規制になるほどお客さんを集めたのも今年を象徴する出来事だった。今年は新しいフジロックが感じられた。
7月28~30日、新潟・苗場スキー場。

(2017年8月15日 日本経済新聞夕刊掲載)
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