日経ライブレポート「サマーソニック2017」

カルヴィン・ハリスフー・ファイターズという世界のフェスでヘッドライナーを務める最も旬なアーティストを迎えて今年のサマーソニックは行われた。ふたつのアーティストのパフォーマンスは素晴らしく、まさに今のポップ・ミュージック・シーンにおける最もパワフルなステージを観ることができた。

カルヴィン・ハリスはシングル、アルバム共に全米1位、年間50億円以上を稼ぐナンバー・ワンDJとしての圧倒的な力を見せつけるプレイだった。フー・ファイターズも、爆発的なエネルギーで走り抜ける凄まじい演奏だった。激しくロックを鳴らせば鳴らすほどポップになっていく彼ら独自のメカニズムを感じさせるパフォーマンスは、ロック逆風の時代の中でなぜ彼らの人気が不動であるのか、その理由がとてもよく分かるものだった。

個人的に印象に残ったのはセイント・ヴィンセントブラッド・オレンジのステージだった。とくに深夜1時過ぎに登場したセイント・ヴィンセントは、まさに眠気も飛んでしまうインパクトのあるパフォーマンスを見せてくれた。

ステージには彼女ひとり。後ろのヴィジョンと一体化したとても演劇的な演出がユニークだった。水着のような衣装を着た彼女はほとんど動かず、マイクの前で仁王立ち状態でギターを弾きながら歌う。もともとスタイルのいい人なので、その肉体のフォルムがオブジェのように機能して独特の世界観を作りあげていく。照明と映像の緻密な演出も見事だった。時間が時間だったので、それほど多くの人がいなかったのが残念だった。

8月19、20日ZOZOマリンスタジアム、幕張メッセ。

(2017年9月8日 日本経済新聞夕刊掲載)
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