シガー・ロスという奇蹟

シガー・ロスという奇蹟

僕にとって今年のサマソニのハイライトはこのバンドだ。
実質的な活動休止に入る前のアルバムとツアーが、思想的にも音楽的にも大団円を迎えたものだっただけに、果たしてシガー・ロスに次の物語があるのか読めなかったからだ。
4年振りに発表されたアルバム「ヴァルタリ」は予想通りこれまで作品とは全く違うものだった。
スタイルは同じでも流れている空気は決定的に違っていた。
まさにこれまで拒絶して来た世界との和解の音が鳴っていたのだ。
過去の曲を含めシガー・ロスはライブでこの音をどう表現するのか、それがとても楽しみだった。
素晴らしいライブだった。本当に感動的なライブだった。
世界に対する拒絶と悲しみという物語でなく、シガー・ロスは過去の曲を含め音楽としてのダイナミズムとグルーヴによって新たな物語を書いてみせたのだ。
もはやそこには異端としての悲しみや前衛性ではなく、音楽としての普遍性と感動をひたすら追求するシガー・ロスがいた。本当に凄いライブだった。
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