スティングは何故10年間、新曲を書けなかったのか?

スティングは何故10年間、新曲を書けなかったのか?

その答えがこのアルバムにある。
自ら、このアルバムのライナーノーツに書いているが、この10年間、彼は新曲への意欲とアイデアを喪失してしまっていたのだ。
今回、それを回復できたのは、自らの故郷である土地へ戻り、その物語を作品することをテーマにしたからだ。
ファンなら知っているが1991年に発表された「ソウル・ケージ」も同じテーマを持つ。
そしてこれもファンなら良く知っていることだが、その「ソウル・ケージ」はスティングがライナーノーツで自ら書いているように「これまでのレコードのなかで、もっとも愛されず、もっとも理解されることのない作品となった」のである。
しかし彼は、今度はミュージカルという形式で、故郷を対象化する作業に挑戦する。
正直、ポップ・ミュージックとしての大衆性はそれほど大きくはないかも知れない。
ただ表現者スティングを考えるうえではとても重要な作品であり、力作である。
どうでもいいことかもしれないが、スティングと僕は同い年である。
彼の自らの表現者としての危機を正直に書いたライナーノーツを読むと、とても共感するところが多く、感情移入してしまう。
今週の番組でしっかり紹介したい。
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