『SIGHT』で「5秒前の世界」を連載いただいているいがらしみきおさんの新刊。現在、小学館「月刊IKKI」に連載中の物語で、第1集が刊行されたのが昨年の夏。そして第2集が今年の6月に出ました。

連載開始時に「幼いころからずっと考えてきた、生と死のこと。命の意味。その先にある“答え”を、今なら描ける気がする」とインタビューで語っていただけに、いがらしさんの作品の中でも内容はとりわけヘビー。

フォーマットがホラー的な作りで、「生」も「死」も殊更なまでに生々しく描かれている点もそうですが、なにより東北生まれの東北育ちであるいがらしさんが、3・11以降に描き始めたという事実は大きい（直接的な表現は無くとも）。分かりにくくならない範囲でそのままに（リアルに）使われる方言も相俟って、場面毎に次々と押し寄せてくる切迫感には、こちらも気力が充分でないとちょっと立ち向かえないところさえある。

そんな物語をコミックで連載し、その世代の目線に立って語りかけていくプロットには、大きな愛を感じます。

『SIGHT』最新号（53号・2012年秋号）は9月29日(土)の発売です。詳しくはこちらをご覧ください。ネットでのご購入も出来ます（http://ro69.jp/product/magazine/detail/73308）。（小池清彦）