リアーナ、スーパーボウル2019のハーフタイム・ショー出演を拒否。米政府をも巻き込むその理由とは?

リアーナ、スーパーボウル2019のハーフタイム・ショー出演を拒否。米政府をも巻き込むその理由とは?

毎年、誰が出演し、どのようなパフォーマンスを披露するのか大きな話題となり、アメリカのエンターテインメント産業にとっては年に一度のビッグな祭典とも言えるスーパーボウルのハーフタイム・ショーだが、来年の出演オファーをリアーナが断っていたことが明らかとなった。
コリン・キャパニック選手の支持とNFLへの抗議を表明するためだという。「US Weekly」などが報じた。

すでに大きな話題となっているが、キャパニック選手は試合の国歌斉唱の際に起立せず跪き、人種差別、引いてはトランプ大統領に抗議の意を示し、保守派とトランプ本人が激怒。物議を醸すことになった。

もちろんケンドリック・ラマースティーヴィー・ワンダーなど多くのミュージシャンはキャパニック支持を表明しているが、保守派は国家への敬意に欠けると猛反発。NFL側は選手の発言の自由を尊重するとの声明を一応は出したが、国歌斉唱中の選手への「膝つき」を禁止に。その後キャパニック選手がどのチームとも契約できていないことが厳しく批判されている。議論は加熱の一途をたどり、また、そんなタイミングでナイキがキャパニックをCMに起用。トランプ支持者の間でナイキの不買運動やスニーカーが燃やされる映像の拡散が行われるなど、対立はますます激化することとなった。

リアーナにしてみれば、来年のタイミングでのスーパーボウル出演は大きなものだったはず。アルバムのリリースやツアーが予定されていたからだ。それでも出演拒否を貫いたのは、人種差別に抗議する彼女の信念をはっきりと示すものだったと言えるだろう。

また、リアーナ以外にもピンクの降板も報じられるなど、ハーフタイム・ショーの出演者決定は難航しているようだ。リベラルなミュージシャンたちはNFLの姿勢に反発しているし、場合によってはボイコットに発展する可能性もある。
現時点ではマルーン5が有力候補だと報じられているが、一連の流れのなか、すんなり引き受けるのは難しいのではないだろうか。

NFLは現時点で国歌斉唱問題に対して強硬な姿勢を取っており、キャパニック選手との和解は簡単ではなさそうだ。両者が歩み寄り、ハーフタイム・ショーがそれも踏まえた内容となるようなことがあれば美しいだろうが……いずれにせよ、来年のショーについての政治的な議論が収束することはなさそうだ。動向を左右するだろう中間選挙の行方にも注目したい。(木津毅)
rockinon.com洋楽ブログの最新記事
公式SNSアカウントをフォローする
フォローする