オズフェスト初の大晦日公演を現地LAからレポ! オジー・オズボーンと17000人のメタル・ファンと共に幕を開けた2019年

オズフェスト初の大晦日公演を現地LAからレポ! オジー・オズボーンと17000人のメタル・ファンと共に幕を開けた2019年

私の2019年は、オジー・オズボーンと約1万7000人のメタルファンの「ハッピー・ニューイヤー!」という叫び声と共に幕を開けた。1996年に誕生したオズフェストが、初の大晦日公演をロサンゼルス郊外のザ・フォーラムで開催したのである。12月上旬、セックス・ピストルズのスティーヴ・ジョーンズのラジオ番組「Jonesy's Jukebox」に出演したオジーと妻のシャロンによると、大晦日にオズフェストをやることにした理由は、「オジーが大晦日が嫌いで毎年何もすることがなかったから」。だが、昨年スタートした「No More Tours 2」(オジー・オズボーンによる最後のワールド・ツアー)のロサンゼルス公演がオジーの手の怪我のために2019年の夏に延期になり、欲求不満にさせられた大勢のファンがいるタイミングだったことも見逃してはならないだろう。

大晦日公演でも1日がかりのフェスという点は崩さず、午後2時半からアリーナ会場の駐車場内に建設されたセカンドステージで、ウェンズデー13、デヴィルドライヴァー、ザック・サバス(ザック・ワイルドによるブラック・サバスのカバー・バンド)のパフォーマンスが行なわれ、日が暮れる頃にアリーナの会場内に移動。そして6時に始まったのが、オズフェスト初登場のアイス-T率いるボディ・カウント。オレンジの囚人服を着たアイス-Tは「モッシュピットができない場所で俺達がライブやることなどないんだがな」と言いながら、座席のあるフロアを攻めまくる硬派なステージを披露した。


続いて、昨年初のソロ・アルバム『ブラック・ラビリンス』を発表したジョナサン・デイヴィス。コーンはオズフェストの常連だが、コーンの曲からソロの曲、彼が手がけた映画のサウンドトラックの曲までを網羅したセットで、コーンのショウよりもジョナサンの声の美しさと艶が際立ち、彼独自の異色の世界が見事に創出されていた。

3番手のマリリン・マンソンも、オズフェストには必須のアーティストだ。2001年のオズフェストのステージで、彼の衣装が広がって天に上昇していくのを見た時は、前代未聞の衝撃を覚えたものだった。彼はもう天には昇らなかったし、黄金期のエキセントリックさもなくなっているが、曲毎に衣装とセットを変えるシアトリカルな演出は健在で、見事な貫禄のステージだった。


この時点まで座っていた1、2階席の観客を「そもそもお前等な、立て! これはメタル・ショウだ!」と煽って総立ちにさせ、フルスロットルで盛り上げたのが次のロブ・ゾンビ。昨年、彼とマリリン・マンソンは2012年の共同ツアーを再び蘇らせ、「The Twins of Evil:The Second Coming」と銘打って北米ツアーを行なっていた。この人気ロック・ツアーを丸ごとラインナップに入れてしまうところが、オズフェスの凄さだと思う。

ショック・ロッカーの元祖はアリス・クーパーだが、ロブ・ゾンビはそこにダンス・ビートを組み込んで、よりエンターテイメントなホラー・ロックを開発した。巨大なエイリアンがステージ上を徘徊したり、背後の大スクリーンにロブ自身が監督したホラー映画の映像等に加えて『キューティー・ハニー』の映像を流したり、日本でバカ受けしそうな要素が満載のステージだ。後半、マリリン・マンソンと共にモトリー・クルーのニッキー・シックスが登場し、最高にヘヴィな“ヘルター・スケルター”のカバーを演奏してハイライトを作った。


しかし、どれほど豪華なラインナップでも、それまでのステージを確実に凌駕するショウを最後に提供するのがオジー・オズボーンである。オジーが凄いからこそ、オズフェストは22年も続いているのだ。オジーは「No More Tours 2」のツアーのプロモーション映像で、「今のザックのギターは史上最高に凄い」と、長年のギタリストのザックを誉め讃えていたが、オジーの状態もまた、私が覚えている限り今が絶頂期である。

MCも曲に合わせての動きも過去最高にしゃきっとしていて、声もパワフルで艶がある。とはいえ、オジーはやっぱりオジー。神懸かり的なパフォーマンスで観客を圧倒する瞬間は多々あるが、ホースを使って観客に大量の水を噴射する時のはしゃぎっぷりや、「声聞こえないぞー! 大声出せー!」としつこく叫び続ける様は、私の目には愛さずにはいられない「プリンス・オブ・ザ・ダークネス(暗黒の王子)」というキャラとして映る。


彼の愛すべき人柄は、間違いなく長年の人気の理由の一つである。カウントダウン直前、残り20秒になってもオジーがうつむいてじっとしていた時は一瞬不安になったが、無事10秒からカウントダウンを始め、「明けましておめでとう!」というシャウトと共に、ステージ上にパイロと花火が大量に噴出した。その後もオジーは約1時間ショウを続け、2度目のアンコール曲となったブラック・サバスの“パラノイド”で大熱狂のうちに終了した。

ブラック・サバスがファイナル・ツアーを終え、オジーも世界ツアーからの引退を表明した今、シャロンは大晦日のオズフェストを毎年の好例行事にしたいと考えているに違いない。現在70歳のオジーがこの夜のように元気でい続ける限り、オズフェストは今後も安泰だ。3月に開催される日本のダウンロード・フェスティバルでも、オジーは強力な姿を披露してくれることであろう。(鈴木美穂)

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