7年ぶりとなるフロッギング・モリーの単独来日公演! 日々のストレスを全解消させてくれる狂熱のアイリッシュ・パンクが炸裂

7年ぶりとなるフロッギング・モリーの単独来日公演! 日々のストレスを全解消させてくれる狂熱のアイリッシュ・パンクが炸裂

遡ること13年前。ライブを観た多くの人がベスト・アクトにその名を挙げた「FUJI ROCK FESTIVAL '06」のグリーン・ステージに登場したフロッギング・モリーのパフォーマンスはいまだに記憶の奥底に焼き付いている。楽しすぎて手足がもげるのではないかと思うほど踊り狂った。

今回は2012年4月の公演(※サポート・アクトはTHE CHERRY COKE$)以来、7年ぶりに東名阪の3カ所に及ぶ単独来日が決定。その初日にあたる渋谷TSUTAYA O-EAST公演を観て来た。会場に着くと、THE CHERRY COKE$から「Welcome to Japan」と親密なメッセージが添えられた花が届いており、日米のアイリッシュ・パンク同士の絆の深さにグッと来た。

そして、改めて説明するまでもないと思うが、フロッギング・モリーはメタル・ファンならば知る人ぞ知るファストウェイ〜カトマンドゥのフロントマンを務めたデイヴ・キング(Vo/G)を中心に97年に結成されたアイリッシュ・パンク7人組。彼らはここ日本においても強固なファン・ベースを築いており、会場には幅広い年齢層のファンが詰めかけて満員状態であった。

開演19時を少し回った頃、DJがランシドの“Time Bomb”を流すと、観客も待ち切れないとばかりに曲を口ずさんで踊り始め、しばらくしてザ・フーの“Baba O'Riley”のSEが聴こえてくると、場内は暗転。 序盤から軽快なバンジョーを配した“Drunken Lullabies”が始まるや、観客はドドーッと前に押し寄せ、天に拳を突き上げて踊りまくる。さらに1stアルバム『Swagger』から“The Likes Of You Again”も飛び出し、お祭り騒ぎに拍車がかかっていく。いやあ、最高。

デイヴ・キングの艶やかにして伸びのある歌声は衰え知らず。味わい深い声質にもかかわらず、常に鮮烈な響きを伴って鼓膜に飛び込んでくる。また、バンジョー、フィドル、アコーディオンを含む演奏陣も盤石の安定感を誇り、観客の高揚感を刺激し続ける。

「カンパーイ! アメイジング!」とデイヴも会場の異様な熱気に上機嫌だ。気づけばフロアにはビール缶が散乱する有り様。まだライブが始まって数曲足らずだが、開放感に溢れた音色にお酒も進むのだろう。

ライブ自体はアッパーな高揚感に満ちたパンキッシュなナンバーから、じっくり聴かせる腰を据えた曲調までをバランス良く取り入れ、フロアを縦に横に揺さぶる。ミドルテンポで突き進む“Requiem For a Dying Song”なんて歌メロの良さに金縛り状態で聴き入ってしまった。

中盤に入ると、デニス・ケーシー(G)がSGギターで長めのソロを披露して観客を魅了。それから現時点での最新作『Life Is Good』(17年発表)から表題曲も披露。この曲は3年前に失くしたデイヴの母親とのエピソードを綴ったもので、フォーキーな色合いを深めた曲調は切なくもどこか明るい。フィドルやアコーディオンの音色もいいアクセントとなり、心の傷を癒すような優しさに溢れていた。

悲喜こもごもの日常。だからこそ、ライブに非日常を求めて、人は我を忘れて歌い踊りたくなるのだ。その後も喜怒哀楽のすべてを受け止めてくれるフロッギング・モリーの演奏に多くの観客が没入。紅一点ブリジット・レーガン(Fiddle/Whistle)がホイッスルを吹く“Devil's Dance Floor”においても日々の鬱憤を晴らすかのごとくフロアは狂熱のダンス天国と化し、また、“Crushed”の流れからクイーンの“We Will Rock You”をデイヴが高らかに歌い上げるパートでは盛大なるシンガロングが渦巻くなど、終始大盛り上がり。

ライブ終了BGMにモンティ・パイソンの映画でも有名なポピュラー・ソング“Always Look On The Bright Side Of Life”(いつも人生の明るい面を見よう)が場内に流れると、メンバー数人が肩を組んで踊ったりと、最高の笑顔を浮かべて別れの挨拶をする姿もとても印象的であった。(荒金良介)
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