コラボの化学反応を遊び尽くしたLSD(ラビリンス、シーア&ディプロ)のデビューALは、全世代対応の超高性能ポップ作だ

コラボの化学反応を遊び尽くしたLSD(ラビリンス、シーア&ディプロ)のデビューALは、全世代対応の超高性能ポップ作だ


先行して配信されていたLSDのアルバム『ラビリンス、シーアディプロ・プレゼンツ…LSD』の日本盤が、4月24日に届けられた。この英米豪を代表するアーティストたちのスーパー・グループは2018年以降のシングルやMV群でも注目を集めてきたが、いやはやここまで力の入ったアルバムを作るつもりだったのか、と頭が下がる思いだ。

ビッグネームたちのジョイント企画らしく、楽しげにコラボの化学反応を遊び尽くしている三者。小気味好く弾けるディプロのトラックは、自身がエキゾチックな情緒のサウンドに傾倒している『Europa』などのソロ近作群と比較しても、格段に切れ味鋭くパワフルだ。


また、“Genius”でのシーアとラビリンス2人がかりのボースティングや、“Mountains”あたりの厳かな陶酔感へと誘うラブソングといったくだりは、実力派ボーカリストたちによるお手本のようなデュエットで素晴らしい。この2人は映画『ワンダーウーマン』のサントラに提供した“To Be Human”でも共演していたが、シーアのエモーショナルな歌唱と、ラビリンスのソウルフルなハスキーボイスは実に好相性で、大きな手応えを感じていたのではないだろうか。

ラブソングやストレートな音楽賛美など、歌詞に用いられているテーマはシンプルだ。だからこそ、三者の音楽的な表現技術を惜しみなく発揮し「2019年の最先端ポップ」という目的へと突き抜けている。ファミリーで楽しめる良質な洋楽作品だし、今夏フジロックの土曜日ヘッドライナーを務めるシーアが、セットリストに本作収録曲を絡めたら最高におもしろいスパイスとなるはずだが、どうだろうか。(小池宏和)

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