最新作が全英1位を獲得したジェフ・リンズELO、三世代にわたり聴く者を魅了するクラシック・ロックの真骨頂に迫る!

最新作が全英1位を獲得したジェフ・リンズELO、三世代にわたり聴く者を魅了するクラシック・ロックの真骨頂に迫る! - 『From Out of Nowhere』『From Out of Nowhere』

日本でも11月1日に発売を迎えたジェフ・リンズELOの『フロム・アウト・オブ・ノーウェア』が、70年代のELOの名盤群に匹敵するほどの素晴らしさで、古くからのファンの間で静かなるヒットになりつつある――という記事を書こうと思っていたのだが、事態が急変した。なんとこのアルバム、全英アルバム・チャートにおいて初登場で首位を獲得してしまったのだ。

ちなみにELOの歴史を振り返ってみても、全英No.1を記録しているのは『ディスカバリー』(1979年)と『タイム』(1981年)、そして2005年にリリースされたベスト・アルバム『ベリー・ベスト・オブ・ELO』のみ。つまり通算4度目、オリジナル作としては38年ぶり、3度目の首位獲得ということになる。

この快挙に、ジェフ・リン自身もご満悦のようで、彼はSNSを通じて「アルバム『フロム・アウト・オブ・ノーウェア』を全英No.1にするために協力してくれた素晴らしいファンの皆さんに感謝します! 人生における最高の時間を過ごしているよ」というメッセージを発信している。人生における最高の時間、という言い回しは、今作の収録曲のひとつである“Time Of Our Life”に引っ掛けたものだ。この楽曲の歌詞には、2017年6月に行なわれたウェンブリー・スタジアム公演の際、ELOの代表曲のひとつである“Telephone Line”を演奏した時に彼自身が目の当たりにした光景が描かれている。《“Telephone Line”を始めた時、6万台の携帯電話が夜の闇の中で揺れながら輝いていた/人生で最高の時間を過ごしたよ》といった具合だ。


さらりと書いてしまったが、このバンドがウェンブリー・スタジアムを満員にしているという事実に驚きを隠せない読者も少なくないことだろう。実際、その模様は『ウェンブリー・オア・バスト~ライヴ・アット・ジ・ウェンブリー・スタジアム』(2017年)として作品化されている。その後も彼らは欧州や北米でのアリーナ・ツアーを実施。筆者は幸運にも2018年11月にロンドンはO2アリーナでの公演(しかも約2万人収容の同会場で4夜公演!)を目撃しているのだが、その際も当然ながら会場は超満員。近年においてロック・コンサートで親子連れを目にすることはまったく珍しいことではなくなっているが、そこには親子どころか三世代の観客が普通に混在していた。

つまり70~80年代をティーンエイジャーとして過ごした世代が、親と子の両方を連れて観に来ていたりするわけだ。それゆえに、老若男女のうち「老」がやや目立つ客層ではあるし、「演奏開始と同時にスタンド席が総立ち!」なんてことにもなりはしない。むしろ観客の大半は着席状態のまま大編成のロック・オーケストラの演奏を味わい、ときおりテンポのいいロックンロールが繰り出されるとゆっくりと立ち上がり、ゆらゆらと腰を振る、という具合なのだ。それはエキサイティングというよりは、のどかで微笑ましい光景だったが、クラシックとロックンロールの融合をコンセプトとしていたELOの音楽が、まさしくクラシック・ロックになっている現実を見せつけられたように思えたものだ。

しかも何より素晴らしかったのは、1947年12月生まれで、この年末には72歳になるジェフ・リンの歌声とたたずまいが、とても若々しかったこと。現在のところ、この最新作に伴うツアーの日程などについては報じられていないが、できることならここ日本でもジェフ・リンズELOの現在を体感したいものだ。そして何より、まずは若い世代にもこの最新名盤に触れて欲しいものだと思う。ジェフ・リンとELOをめぐる長い歴史について紐解くのは、それからでいい。(増田勇一)


ジェフ・リンズELO『フロム・アウト・オブ・ノーウェア』のレビューは以下。

“ひとりELO”が世界をハモらせるという魔法
4年ぶりの新作。アーティスト名の表記のあり方からは、シンプルにELOと名乗れない大人の事情が垣間見えるが、実のところ、ごく一部の付加的な楽器以外はすべてジェフ・リン自身が演奏しており、歌やコーラスも含めてほぼ彼の自作自演。しかも制作現場は、彼の自宅スタジオ。ここまでくると、彼の名前の後に付…
ジェフ・リンズELO フロム・アウト・オブ・ノーウェア
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