ロッキング・オンでスリープ・トークンの記事を書いてくれないか、という依頼をいただいたとき、個人的にはとても新鮮な感銘を受けた。スリープ・トークンのジャンル的な出自はメタルで、匿名の覆面バンドという出立ちもあわせ、オルタナ／インディ的なロック観からすればどうしても色物扱いされがちなものだからだ。
ただ、音楽的には現行のポピュラー音楽やインディロックに通じる要素が多く、本誌読者との相性はかなり良い。また、近年はリナ・サワヤマや100ゲックスのようにメタルの要素を用いるアーティストがポピュラー音楽の領域にも増えていて、多くのリスナーの耳が知らず知らずのうちにメタル的なものに慣らされてきている。スリープ・トークンの音楽はそうした状況にぴったりはまるものだろう。そういう意味で、今回の記事は絶妙なタイミングにも思われる。
スリープ・トークンの出自はメタルだと述べたが、実はメタル領域でも注目され始めたのは最近のことで、ジャンル的な括りとは別のところを辿ってファンベースを築いてきた感がある。今回の記事では、そうした経緯にも触れつつこのバンドの音楽的な魅力について掘り下げている。お楽しみいただければ幸いだ。（和田信一郎）
スリープ・トークンの記事が掲載されるロッキング・オン9月号
