すでに目をつけている読者も多いはずだが、12月13日に発売されたタック・スミス&ザ・レストレス・ハーツの本邦デビュー作『しくじった青春のバラッド』が評判を集め始めている。
今どきめずらしいテイストの邦題からは70年代の隠れた名盤みたいな匂いも漂ってくるが、これは当然ながられっきとした新作。
タック・スミスはアトランタを拠点とするバイターズを10年間にわたり率いてきた人物で、同バンドの解散後、自らの名前を掲げながらこの新体制で動き始めている。バイターズの名前はパワー・ポップやガレージ系の愛好家たちの間では認知されているはずだが、そもそも彼自身は少年期にハードコアに目ざめ、そこからオリジナルパンク、グラムからメタルに至るまでを深堀りしてきたという根っからのロックファンだ。
1月6日発売のロッキング・オン2月号には、そんなタックの素性を探るインタビューを掲載。好きな音楽のことになると話が止まらない彼の口からは、ブラック・フラッグやサークル・ジャークスからKISS、シン・リジィに至るまで「なるほど!」と合点のいく名前が次々と飛び出し、彼にとっては思い出したくもないはずの、過去の崖っぷちストーリーについても明かしている。
そうした発言の数々に、ジャンル無用のロックファンならばきっとすぐさま親近感をおぼえるはずだし、それはアルバム自体についても同じことだ。彼らの音と言葉を、是非チェックしてみて欲しい。(増田勇一)
タック・スミス&ザ・レストレス・ハーツの記事が掲載されるロッキング・オン2月号