驚異的なアルバム『ヘルファイヤ』(2022年)のリリース後、日本も含めたワールドツアーでカオティックかつパワフルなパフォーマンスを見せ、絶好調に見えたブラック・ミディだが、Instagramライブでの突然の無期限活動休止発言で多くのリスナーに衝撃を与えた。このタイミングでなぜ……と動揺したひとも多かっただろう。
そんななか、ギタリスト兼ボーカリストのジョーディー・グリープが初のソロアルバム『ザ・ニュー・サウンド』を発表する。人気バンドの停止ののちのソロ作というのはえてしてファンに複雑な想いを抱かせるものだが、本作はそのモヤモヤを晴らす説得力を持った作品に仕上がっている。
何しろ、ロンドンとサンパウロを行き来し、30人以上のセッションミュージシャンと作りあげた野心作なのだ。プログレ、ジャズ、ハードコア、クラシックなどなどがミックスされた複雑怪奇な音楽性はブラック・ミディと通じるものだが、サンパウロのプレイヤーとセッションすることでブラジル音楽のフレイバーが強くなり、エネルギッシュかつグルーヴィーな勢いが漲っている。
ロッキング・オン11月号では、そんなソロアルバムについてジョーディー・グリープにインタビューをおこなった。
ミュージシャンとして、現在の彼が前向きな気持ちであることが伝わる内容になっているので、ブラック・ミディの活動休止に落胆した人こそ読んでいただきたい。来年2月の来日ツアーについての面白いアイデアについても話してくれていて、期待は高まるばかりである。(木津毅)
ジョーディー・グリープの記事が掲載されるロッキング・オン11月号