理性の殻がひび割れる

テスラは泣かない。『Lie to myself』
2014年04月23日発売
SINGLE
テスラは泣かない。 Lie to myself
最初、このバンドを知ったときには、ノーブルで理知的な人たちなんだろうと思っていた。実際、そのサウンドには緻密な構築美があったし、村上学(Vo・G)の書く歌詞にも一種の哲学性が宿っていた。だが、じつはこのバンドはそうではなかった。執拗に繰り返されるピアノのリフと、野蛮に跳ねまわるパワフルなリズム。身体中の細胞を振り絞るような歌声と、ときに宇宙的な広がりを感じさせる言葉。熱さと冷たさが、野性と知性が、一瞬ごとにせめぎ合っていくスリルにこそ、このバンドのおもしろさはあったのだ。鹿児島出身の4人組、テスラは泣かない。のメジャーデビューシングルは、そんなおもしろさを思うがままに爆発させた、名刺代わりと呼ぶにはあまりにも鋭い1枚である。まとわりつく理性を振り払うように《極端な話をしよう ディスカッションはそれからさ》と呼びかけ、《Lie to myself/いま、騙されちゃえよ》と本能の暴走をそそのかす。まさに羽化直前、アナログ・レコーディングの分厚い音の向こうに、溢れ出すマグマのように煮えたぎった何かが蠢いている。さあ、始めようぜ。(小川智宏)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする