表現者の成長と比例して作品の価値が向上するならば、最も未熟な時期に生み出された作品の価値は低いということになる。若く未熟な人間が存在意義を伝え、発言権を勝ち取るにはどうしたらいいか。ロックンロール・バンドのデビュー・シングルには、そのことが盛り込まれていなければならない。爆弾ジョニーのデビュー・シングルは、アニメ版『ピンポン』のオープニング・テーマ曲にも採用された。これが単に、多くの人々にとっての名刺代わりの一曲となるのか。それとも、ロックンロール・バンドにとっての永遠の一曲となるのかで、意味は大きく違う。

“唯一人”は直球のロックンロールであるにもかかわらず、このきっかり３分に込められた情報量は膨大だ。《「僕だって誰だって気持ちイイことがしたいだけえ！」》という乱暴だが普遍的な結論は、ロックンロールもアニメも貴方も繋げてしまうだろう。カップリングは、《たまにゃ言葉じゃなく奇声をあげろ》というフレーズが余りにも親切にロックンロールを説明してくれるファンキーなダンス・ナンバーと、あらためましてのメンバー自己紹介セッションで計3曲。（小池宏和）