手堅くも理想的なプログレス

ドーター『ノット・トゥ・ディサピアー』
発売中
ALBUM
ドーター ノット・トゥ・ディサピアー
ロンドン出身の3人組による2作目。ザ・エックス・エックスとビーチ・ハウスのあわいを縫うアトモスフェリックなサウンドでデビュー前から評判を呼び、先頃出演したホステス・クラブ・ウィークエンダーでのパフォーマンスも記憶に新しい。前作のデビュー・アルバム『イフ・ユー・リーヴ』はロディ・マクドナルド(アデル他)やジョリヨン・ヴォートン・トーマス(シガー・ロス、M83他)のプロデュースも話題を集めたが、今作で迎えたのはアニマル・コレクティヴやディアハンターの諸作でお馴染みのニコラス・ヴァーネス。レコーディングもブルックリンで行われるなど、彼らが新たな環境で今回の制作に臨んだ様子が窺える。音楽的な全体像は前作の延長線上ながら、プロダクションはより奥行きを増した印象で、〈4AD〉の先輩ブロンド・レッドヘッドも連想させる霊妙なサイケデリアを披露する場面も。M4やM6のシンフォニックなサウンドスケープも素晴らしいが、新鮮な印象を与えるのはパーカッシヴなビートのM2やダンス・トラック風のM7だろうか。音のスケールを広げつつ、細部まで凝らされた趣向の数々。理想的な次の一手だ。(天井潤之介)
公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする