まさかの「泣けるきゃりー」

きゃりーぱみゅぱみゅ『ピカピカふぁんたじん』
2014年07月09日発売
ALBUM
きゃりーぱみゅぱみゅ ピカピカふぁんたじん
『なんだこれくしょん』できゃりーぱみゅぱみゅが到達した境地は、言ってみれば、歌詞が物語からも意味性からもメッセージ性からも解放されたナンセンスな言葉遊びの世界であっても、聴き手は共感することも共有することも、感動することだってできるということだった。

そして前作後『もったいないとらんど』に始まるシングル3連発、それらが収録された本作に顕著なのは、「意味と物語を持つ歌詞」である。意味性の過激な解体で、巷の「共感狙い」の安いJ-POP達をことごとく陳腐化したきゃりーが、言ってみれば「普通の歌」を歌う。だが「恋愛」「卒業」「家族愛」といった、言葉にしてみれば陳腐でありきたりなテーマなのに、中田ヤスタカの一流の切なさと寂しさを伴ったメロディと、前作以上に攻めに攻めた多彩な楽曲、そしてそれに応え表現力を増したきゃりーのヴォーカルで「刹那の祝祭」の輝きの美しさを見事に浮き上がらせている。言葉が刺さり、メロディが沁みて、サウンドに心が躍る。たぶん初期からのファンには賛否両論だと思うが、素晴らしい傑作と断言することに躊躇などあるはずがない。(小野島大)
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